ウクライナへの軍事侵攻が始まって13日目…
自分が怒り悲しんでも誰の役にも立たないとわかっていながら、 心が荒れ狂うのを止められない。。 入ってくる情報の重さにぐったりして、 もう忘れて過ごそう… いつもどおりの日常を… と思うのだけれど、 攻撃にさらされている人たちには ほっとできる日常など何処にも無いんだ… という思いが頭によぎって 結局おちつかない。。
そんなわたしの様子を、 低空飛行の天使か 見かねた妖精かが そっと手助けしてくれたみたいです・・・
『短篇コレクション 2』(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)河出書房新社 2010年
この本、、 もともとは A.S.バイアット著の作品がこの短篇集に収載されていると知って、 ほかにも タブッキや カズオ・イシグロなどの短篇も読めるし、、 それで手に取ったのでした。 が、そのかたたちの作品ではなく、、
巻頭に載っていた アレクサンドル・グリーンの「おしゃべりな家の精」(岩本和久・訳)という小品のこと。
***
旅人、、(だと思う…)が 雨宿りに空き家をみつけて中に入ると、 そこに家の精がいて かれは虫歯が痛くて苦しんでいた。 痛がりながら「聞いておくれよ」と旅人に話し始める この家にかつて住んでいた若い夫婦のはなし…
ほんの7頁ほどの小品なので、 ストーリーを説明するわけにもいきません。。 この家の夫婦と、 それから夫の親友。 家の精が語るのは ある日の、 たった一日の出来事…
それは 愛の奇跡なのか 愛の悲劇なのか、、
話し終えた家の精は、
「…歯は痛いし、さっぱり理解できないし……」
と、旅人に言う。。 どうやら この家の精には そのことが理解できなくて、 それをずっとずっと考えて、 もう誰も住まなくなったこの家にずっと居残りつづけているらしいのです…
家の精が語った物語、、 わかる、と言う人と 家の精と同様に さっぱり理解できないと言う人がいるかもしれません。 何がおこったのか、 いろいろな解釈ができるお話になっていて、、 わたし自身、 この物語の愛の魔法が わかるような気もするし、、 夫、 その妻、 夫の親友、、 それぞれが辿ったその後の人生について思いめぐらせてみて、 幸せなのか、 悲劇なのか、 運命なのか、 それとも理性の結果なのか、、
「驚くなよ、これこそが魔法なんだ。つまり美しい魂がもつ大いなる知識というものさ…」
と、 家の精が旅人に話し聞かせる場面もありますが、、 家の精はほんとうに《魔法》を見抜くことができたのかな…… 人間と人間のあいだにうまれる愛の魔法を……
いろいろ考えながら3回くらい読み返しました。。 それだけ魅了されるお話だったんです。
***
でも、、 魔法はこの物語の内容だけではありませんでした、、(いまの私には)
作者のアレクサンドル・グリーンという人を私は知らず、、 名前とこの家の精の話からは どこの国の作家かもよくわからない感じですが、 ロシア(旧ソ連)の作家だと知ってさらに驚きました。
父はポーランド人、 母はスウェーデン系ロシア人で、、 アレクサンドル・グリーン(1880年 – 1932年)は晩年をクリミア半島で暮らし、 黒海に面した美しい街フェオドシヤにはグリーン博物館もある、とのこと。。(いま毎日のように耳にしているクリミア…)
短篇作品を発表したのは おもにペトログラード(サンクトペテルブルク)の新聞のようだから ロシアの作家と呼んで良いのでしょうけど、、 彼が若い時に愛読したのは、 スウィフトやホフマン、 アラン・ポーなどの幻想小説、 それからスティーヴンソンの海洋冒険小説や、 H.G.ウェルズのSF小説なども、、 それで本名のグリネフスキーという名ではなく、 欧米人のようなペンネームでファンタジックな作品を多数のこしたそうです。
なんだか、、 今、このときに、 クリミア半島で暮らしたこんなファンタジックな作品を書くロシアの作家にめぐり逢ったことが、 なんだか魔法のような気がしました。 毎日、 悲しい、 日に日に残酷さが増していくニュースを目にしていて 心が重くぎすぎすしている時に、 ロシアにもこんな夢みる世界を描いた作家さんがいたんだ、と気づけただけで 心がすこし軽くなったのです。。 もちろんロシア文学には好きな作品がたくさんあるし、 いまの軍事侵攻と文学はなんの関係もないことは判っているけれど、、
.
もっとアレクサンドル・グリーンの作品が読んでみたくなって、 いま いろいろ集めているところです。 (すでにいくつかは読みました。 とても好きになりそうな気がしています、、 そうよね、 アラン・ポーやスティーブンソンを好きな作家さんですもの)
、、 そうしてグリーン作品を検索しているときに、 ロシア大使館のこんなツイートも見つけました、、 https://twitter.com/RusEmbassyJ/status/1429784445469425672
ほんの7カ月前には愛と夢と冒険の物語を紹介していたのに…
世界はすっかり変わってしまいました。。 でも ひとびとの心のなかの 愛や夢までは変えられないはず… なによりグリーンの作品がそういう作品だと思うから。。
これから少しずつ作品を読んでいきます。
私にアレクサンドル・グリーンをおしえてくれた家の精さん、 ありがとう…
自分が怒り悲しんでも誰の役にも立たないとわかっていながら、 心が荒れ狂うのを止められない。。 入ってくる情報の重さにぐったりして、 もう忘れて過ごそう… いつもどおりの日常を… と思うのだけれど、 攻撃にさらされている人たちには ほっとできる日常など何処にも無いんだ… という思いが頭によぎって 結局おちつかない。。
そんなわたしの様子を、 低空飛行の天使か 見かねた妖精かが そっと手助けしてくれたみたいです・・・
『短篇コレクション 2』(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)河出書房新社 2010年
この本、、 もともとは A.S.バイアット著の作品がこの短篇集に収載されていると知って、 ほかにも タブッキや カズオ・イシグロなどの短篇も読めるし、、 それで手に取ったのでした。 が、そのかたたちの作品ではなく、、
巻頭に載っていた アレクサンドル・グリーンの「おしゃべりな家の精」(岩本和久・訳)という小品のこと。
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旅人、、(だと思う…)が 雨宿りに空き家をみつけて中に入ると、 そこに家の精がいて かれは虫歯が痛くて苦しんでいた。 痛がりながら「聞いておくれよ」と旅人に話し始める この家にかつて住んでいた若い夫婦のはなし…
ほんの7頁ほどの小品なので、 ストーリーを説明するわけにもいきません。。 この家の夫婦と、 それから夫の親友。 家の精が語るのは ある日の、 たった一日の出来事…
それは 愛の奇跡なのか 愛の悲劇なのか、、
話し終えた家の精は、
「…歯は痛いし、さっぱり理解できないし……」
と、旅人に言う。。 どうやら この家の精には そのことが理解できなくて、 それをずっとずっと考えて、 もう誰も住まなくなったこの家にずっと居残りつづけているらしいのです…
家の精が語った物語、、 わかる、と言う人と 家の精と同様に さっぱり理解できないと言う人がいるかもしれません。 何がおこったのか、 いろいろな解釈ができるお話になっていて、、 わたし自身、 この物語の愛の魔法が わかるような気もするし、、 夫、 その妻、 夫の親友、、 それぞれが辿ったその後の人生について思いめぐらせてみて、 幸せなのか、 悲劇なのか、 運命なのか、 それとも理性の結果なのか、、
「驚くなよ、これこそが魔法なんだ。つまり美しい魂がもつ大いなる知識というものさ…」
と、 家の精が旅人に話し聞かせる場面もありますが、、 家の精はほんとうに《魔法》を見抜くことができたのかな…… 人間と人間のあいだにうまれる愛の魔法を……
いろいろ考えながら3回くらい読み返しました。。 それだけ魅了されるお話だったんです。
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でも、、 魔法はこの物語の内容だけではありませんでした、、(いまの私には)
作者のアレクサンドル・グリーンという人を私は知らず、、 名前とこの家の精の話からは どこの国の作家かもよくわからない感じですが、 ロシア(旧ソ連)の作家だと知ってさらに驚きました。
父はポーランド人、 母はスウェーデン系ロシア人で、、 アレクサンドル・グリーン(1880年 – 1932年)は晩年をクリミア半島で暮らし、 黒海に面した美しい街フェオドシヤにはグリーン博物館もある、とのこと。。(いま毎日のように耳にしているクリミア…)
短篇作品を発表したのは おもにペトログラード(サンクトペテルブルク)の新聞のようだから ロシアの作家と呼んで良いのでしょうけど、、 彼が若い時に愛読したのは、 スウィフトやホフマン、 アラン・ポーなどの幻想小説、 それからスティーヴンソンの海洋冒険小説や、 H.G.ウェルズのSF小説なども、、 それで本名のグリネフスキーという名ではなく、 欧米人のようなペンネームでファンタジックな作品を多数のこしたそうです。
なんだか、、 今、このときに、 クリミア半島で暮らしたこんなファンタジックな作品を書くロシアの作家にめぐり逢ったことが、 なんだか魔法のような気がしました。 毎日、 悲しい、 日に日に残酷さが増していくニュースを目にしていて 心が重くぎすぎすしている時に、 ロシアにもこんな夢みる世界を描いた作家さんがいたんだ、と気づけただけで 心がすこし軽くなったのです。。 もちろんロシア文学には好きな作品がたくさんあるし、 いまの軍事侵攻と文学はなんの関係もないことは判っているけれど、、
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もっとアレクサンドル・グリーンの作品が読んでみたくなって、 いま いろいろ集めているところです。 (すでにいくつかは読みました。 とても好きになりそうな気がしています、、 そうよね、 アラン・ポーやスティーブンソンを好きな作家さんですもの)
、、 そうしてグリーン作品を検索しているときに、 ロシア大使館のこんなツイートも見つけました、、 https://twitter.com/RusEmbassyJ/status/1429784445469425672
ほんの7カ月前には愛と夢と冒険の物語を紹介していたのに…
世界はすっかり変わってしまいました。。 でも ひとびとの心のなかの 愛や夢までは変えられないはず… なによりグリーンの作品がそういう作品だと思うから。。
これから少しずつ作品を読んでいきます。
私にアレクサンドル・グリーンをおしえてくれた家の精さん、 ありがとう…