不思議な読後感のある本~~。
「ALONE TOGETHER」 本多 孝好 著
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他人の波長とシンクロすることでその人の本音を語らせる能力を持つ主人公は、三年前に退学した大学の教授から「ある女性を守ってほしい」と、依頼を受けます。
学校や社会からドロップアウトした子や、家庭の問題、疎外感等を持った子どもたちが通う「塾」でアルバイトをしている主人公は、
時々、自分自身を訪れる「不思議な他人」にイライラしながらも、塾に通う子どもたちの面倒をみたり、教授からの頼まれた「守るべき女性」と接触していくのです。
なぜ彼女を守るのか、教授と彼女の関係、彼女の出生の秘密と生い立ち、主人公の不思議な能力、主人公を支え守ってくれる一人の女性・・・、
途中までは、何だか頭が混乱しそうな物語なんですが(苦笑)、後半に入った頃から「主人公の能力の不思議」に魅せられてきました。
他人の波長にシンクロし、本音を語らせ、問題を解く能力~!
それは遺伝的なものでもあるという。
「主人公の両親の死」・・・これもこの能力に関係あったのです。
主人公は、入学した医学部の脳神経学の権威者である教授に質問したのです。「脳の中に呪いの入り込む余地はあるのですか」と・・・、「呪いのことは分かりません」という教授の答えに、「この医学部で学ぶことは何もない」と、たった三ヶ月で医大を辞めたのです。
が、その質問を覚えていた教授は、三年後に彼に連絡を取りました。
それが「ある女性を守って欲しい」という依頼だったのです。
「理由も分からずに、引き受けた」主人公・・・、不思議な能力を使いながら静かに進む物語~~本当に面白い内容でした!
時々、彼の前に現れる不思議な他人も、最後になると分かります。
そして、タイトルの「ALONE TOGETHER」の意味も分かるのです。
こんな面白い読後感~~久しぶりでした。