今年3月亡くなられた、作家の内田康夫氏.
氏の本では、ハンサムで優しい浅見探偵が登場するシリーズは、たくさん読みました。
なんとなく本棚をさがしていて、見つけたのがこの本。
「難しい問題だけど、きちんと考えるべき」内容の本でした。
「靖国への帰還」 内田 康夫 著
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《昭和20年、一人の若き海軍飛行兵が「靖国で会おう」を合言葉に、多くの仲間といっしょに戦いにいどみます。
彼は、B29を迎撃するも敵の弾を浴び墜落・・・。
いつもの訓練で、基地にたどりつくのに目標としてしていた「烏帽子岩」を見ながら帰還しますが・・・、彼がたどり着いたのは「現代の厚木基地」。
タイムスリップしてしまったのです!
62年後の日本に戻ってきた彼は、当時の青年のまま・・・、何もかも変わってしまった日本で、彼はどう生きて行くのでしょうか・・・。
二度と会えないと思っていた大切な人との出会い、自分が現代に生きて帰ってきた使命は何か・・・、
彼は、自らが英霊として祀られた「靖国神社」のことを思うのです。
国際的にも、世論的にも「一国の首相や天皇」が参拝できないという事実を知ります。
戦友たちが「靖国で会おう」と誓い、母国のために命を投げ出し散っていったことの上に成り立った平和の国の今・・・、
彼は、マスコミを通じて、日本の国民が「靖国に参拝し、戦争の犠牲者に頭を下げる」ことの当たり前を、強く訴えます。
「戦犯」として処刑された人たちも合祀されていることからの、参拝反対の意見に対しては、
「日本では、亡くなった人たちはすべて神としてみなす習慣があるのではないか」と、反論します。
そして、受け入れられない自分の気持を考え、今の世に生きることの難しさを感じて、ある決意をします!
彼が、今に帰って来たときに乗っていた「月光」という戦闘機が、名古屋で保存されることになったことを知り、その操縦をかってでたのです。
が・・・彼は、62年前と同じように空に散ります・・・》
戦争の犠牲者と戦犯となった人たちの合祀、
「夫や父は、お国のために」とだけの思いで死んだのではない、という遺族の方々の気持、
靖国に関するいろいろの問題を、私たち一人ひとりがきちんと考えていかねばならことを感じた本でした。