prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「戦国自衛隊1549」

2005年07月12日 | 映画
タイムスリップものは辻褄合わせでひっかかることが多いのだが、ここでは過去を変えることによって変わってしまう現在(未来)がどんなものか、あるいは変えられたおおもとの史実がどんなものなのか、という比較の対象の描写がまるですっぽぬけている。比較の対象がなかったら、どう変わるのか、変わったらどうなるのか、わかるはずもない。
たとえばオープニングでふだんの自衛隊の描写を抜かしていきなりタイムスリップしてしまう。あるいは、自衛隊員がどういう生活をしているのか、何を愛して何を守ろうとしているのか、というのは台詞でちらちらと出てくるだけ。

早い話、信長とか斉藤道三とか木下藤吉郎とか蜂須賀小六とかいった人物についての予備知識を全然持っていない人が見て、これで話が通じるかどうか。話の設定の時点で、それぞれどういう立場なのかおよそはっきりせず、だから話が収まる所に収まってもなんか腑に落ちた感じがしない。ハリウッド風の作りではあっても、そういうところがヌケているのは感心しない。
金かかってるしスペクタクルとしては悪くないけど、それにしてはなんでこう画調をシブくしたのか、不思議。

城の武器庫の板壁に「火気厳禁」と書いてあるのは、当然だけれど気がきいている。
(☆☆☆)



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