prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「バットマン ビギンズ」

2005年07月25日 | 映画
ずいぶんリアルな作りで、ゴッサム・シティはシカゴが元だとはっきりわかるし、バットマンが使う色々なガジェットも、今のテクノロジーだったら実際に作れそう。何より復讐の連鎖をどう止めるのか、というテーマは娯楽映画の矩ぎりぎり。

やたら豪華なキャストが、普通だったら顔見せに近くなりそうなものが全員適役で演技者ぞろい、噂通り重い内容に応じて本格的な演技を見せる。安っぽい感じがまったくない。お話の作りもしっかりしたもの。

しかし毒を使うとなると暗いのを通り越して何とかを思わせて陰惨な感じで、さすがにひっかかる。しかも神経毒となると、解毒できても後遺症が残るはず。
毒で街を滅ぼす目的というのがコミック的なホラ臭さをまるで感じないのは、御時世。

渡辺謙の出番が少ないのは知ってたけど、もうちょっとねえ。使っている言葉は造語だろうけれど、日本語のようで日本語でないような不思議な感じ。
(☆☆☆★★)



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「激しい季節」

2005年07月25日 | 映画
1959年、ヴァレリオ・ズルリーニ監督。ジャン・ルイ・トランティニャン、エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ主演。

第2次大戦中だというのに、一日中浜辺にたむろしていられる金持ちたちのうち、戦争未亡人とムッソリーニの側近の息子なので兵役を逃れている青年との恋。
いい気なものな感じだったのが、次第に戦況が悪化していくうちに足元が崩れていって、避難民で一杯の列車が連合軍の戦闘機が襲われるクライマックスで一気に崩壊する迫力。
奥行きの深い構図でほぼワンシーンワンカットに近いゆったりした画面作りが多いが、空襲シーンだと一転してすごい迫力を見せる。群集ひとりひとりが芝居しているものだから、ヴォリュームたっぷり。

トランティニャンが誰かと思うくらい若い。角度によってレッドフォード似の美男に見えるかと思うと、なんとシュワルツェネッガーに似て見えたりする。
遠くの照明弾(!)に照らされた中のダンスパーティで、台詞を使わずたくさんの男女のかけひきを見せる演出の腕。
父親が失脚してから外出禁止令を破って逢い引きしているところを憲兵に誰何されるあたりの恐さ。