しかし、よくもまあと思うほど時流に抗した作り。
3人の女の子が語る物語の言葉のラクダやクジラなどのイメージが、直接描かれるのではなく、トラックの絵や風船などワンクッションおいて、「目に見えるもの」を言葉、物語が越えていき、自然にいわゆる「日本」の時間や空間の枠を解体していくように配している(えらい抽象的な言い方だけど、本当にそうなのですよ)。
古い回り舞台に出てくるセットの屋敷と、実物の家が移動するシーンとの対応など、直線的なつながりではなく飛躍と連想が組み合わさった詩的表現。
題名になっている村に埋まった木は「風の谷のナウシカ」の腐海を思わせる。
抽象画のような室内セット。
夜のシーンの、極端なロー・キーな割に細部まで写った画調は、オーロラの撮影用のNHKが開発した特殊カメラを使ったかららしい。「バリー・リンドン」ばりの凝り方。
ロングに引いて誰だかわからないような役に、松坂慶子がいたりする。
写真はシネマライズ渋谷の壁に書かれたサイン。
(☆☆☆)
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