prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アラバマ物語」

2006年02月12日 | 映画
この映画の製作(1962)後もアメリカの保守層の嫌らしさを描く映画はずいぶん出たが、それらと比べても描写のタッチはおとなしい割に、内容の突っ込みは厳しい。
グレゴリー・ペックの堂々たる正義派の弁護士はAFIの投票によるアメリカ映画史上No.1のヒーローに選ばれたそうだが、今見ても不思議と白けない。

前半、子供の目を通して隣の謎の家を何やら怪奇映画のように描いているのは、ユニバーサル映画の伝統が妙な感じで出たか。ハムの仮装(!)をした語り手の女の子ががわずかな覗き窓から乱闘を見ているクライマックスも、子供の目という視点を通している。
この映画の悪役である無知による恐怖から差別と暴力に走る連中は、無知という点では子供のまま腐敗したのかもしれない。
ああいう父親を持てば、そういう腐敗には無縁だろうが。

出番はわずかだが、若き日のロバート・デュバルが重要な役で登場、台詞は一つもないのに全編を締めるのは、栴檀は双葉より芳しと思わせる。

偶然だが、先日見た「レジェンド・オブ・ゾロ」で悪役がアラバマ出身という設定になっていた。保守的という紋切り型のイメージがあるらしい。

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