prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミュンヘン」

2006年02月20日 | 映画
爆発シーンで人間の身体がふわっとすっとんだりするなど、人間がまったく一個のモノとして描かれていて、スピルバーグ得意の即物的なタッチが横溢。リアルな分、脱色した画調とあいまって逆に悪夢のような感触が出ている。
主人公がよく悪夢を見るし、現実はその悪夢以上なのだ。

パレスチナ側とイスラエル側の面々がカットバックされるシーンがあるが、ここは両者を対置しているのではなく、どこが違うのかわからないのを見せている感じ。悪夢の中でもごっちゃになっていたみたい。

殺し合いの一方で「食」と「性」と、生きることそのものが端的に対置されているが、それ以上に救いらしい救いはない。簡単にそんなの言えるわけもないが、見終えてやりきれなくなるのも確か。

地味めの顔ぶれを揃えたキャスティングに加えて、ジェフリー・ラッシュやミシェル・ロンスデールなど最初誰だかわからないくらい役にはまって出てくる。

「スティング」とか「ベルモンドの交換結婚」など、当時の映画の広告がちらちらと目に入る。
(☆☆☆★★)

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