うーん、ヌルい。
踊りを禁止している国、なんて出てくるから、芸術が表す人間の自由と権力との関係を寓話的に描こうとでもいうのか、と思うとそれほど組み立てがしっかりしていませんでね。
王様がしきりと踊り好きの娘を金のある殿様に嫁にやって国家の財政を立て直そうとするのだが、バレエの興行でもやって客集めるとか、美人の娘にかこつけて殿様から金を引き出すとかやった方がいいんじゃないかと思った。何もみんな頭からやっちゃうことはないのだ。
なんかそういう正面切ったテーマの立て方するのが今難しくなっているのはわかるけど、作ってる方もあまりちゃんと考えてないんじゃないかなあ。
肝腎のバレエ・シーン、衣装と背景が同じ色で統一されているもので、なんだかネムいのだね。
スモークをもうもうと焚いたもので足元がよく見えなかったり、フレーミングが曖昧だったりで、撮り方が緩い。
どういうわけか日本の暗黒舞踏風のバレエもあって、暗くて良く見えない。
それらのバレエが権力と対置するというわけではなくて、「かぐや姫」の求婚者が持ってくる宝物にあたる扱いなのだから、なんだかとんちんかん。
(☆☆★★★)