prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「岸辺のふたり」

2007年01月27日 | 映画
映像というのは、「待つ」姿を描くとモノをいうものらしい。

映像は現在進行形なので、まだ来ていない時、というのは決して描けないから想像に任せるしかない。
しかも画がもっぱら遠景で、しかも人物が半ば影に隠れて表情がわからない。というのが効果をあげた。

ただ、ラストで過ぎ去った時が一気にチャラになるのには、やや違和感を覚えた。
自分より年下になった父親(たぶん)に出会った方が、痛切な感じが出たように思うのだが。
(☆☆☆★)


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「万事快調」

2007年01月27日 | 映画
イブ・モンタンとジェーン・フォンダ主演によるジャン=リュック・ゴダール作品。
ということはいつものゴダール作品。ゴダールくらいずうっと「前衛的」でありつつ「いつもの」であり続けている人も珍しい。

見るほうも、画面の被写体をフランス国旗の赤・白・青に塗り分ける色彩処理、画面外から注釈をつけるようなナレーション、長い長い移動撮影に音楽がかぶさって気持ちよくなりかけるとぶち切る音の処理、などをまたやってる、と思いながら、いつもの「いつもの」とはちょっとづつズレている居心地悪さも感じ続けるという次第。

工場の建物のいくつも連なった部屋を透視図風にぶち抜いて横移動で捕らえた画面作りや、主役二人がカフェで話すのをストレートな会話を外してもっばらナレーションの注釈で描いた、異化効果式演出などは面白い。

ラストに出てくる呆れるほどバカでかい、やはりものすごく長い横移動で捕らえられるスーパーマーケットが、日本に進出しかけて撤退したカルフールであることが目を引く。製作当時から一種の資本主義の牙城みたいだったのだね。

今見ると、毛沢東思想(マオイズム)が一種の主義思想として理解されているのが変な感じ。アレは権力闘争のための方便でしょう、と突っ込みを入れたくなってしまう。
(☆☆☆)


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