ラジー賞狙いで作ったのではないかと疑いたくなる企画だが、それを十五年かけて実現してシャロン・ストーンのギャラとトントンの500万ドル稼いだきりで、しっかりラジー賞のワースト作品・ワースト主演女優・ワースト脚本・ワースト前編・続編の4部門を受賞した。
というわけで、どれだけひどいか期待して見ることになるわけだが、実際のところもとの「氷の微笑」とたいして違わないんだよね、いやこっちがいいのではなく、もとからヒドいということで。
あれは「犯人がわからない」というのを宣伝戦略の要にしたわけだれど、なんでわからないかというと、、彼女が犯人かもしれない、いや彼女がという「仮説」あるいは刑事の思い込みが並んでいるだけで、それを支える根拠がないのだ。対象は違うが、ああもいえるこうもいえるといったマスコミ的政談とやってるレベルは変わらない。
こういう思わせぶりを底が深いようにすりかえて、安手な作りを覆い隠すのに史上最高といわれた莫大な脚本料(300万ドルでしたっけ)を目くらましにした宣伝が成功したわけで、映画の中身よりマーケティングの手口の解説の方が確実におもしろいだろう。
で、今回はコケ脅しとハッタリ、エロと暴力のどれをとっても精力減退気味。シャロン・ストーンは本当のところ「キング・ソロモンの秘宝」(1985)の頃の木曜洋画劇場的な安っぽいヒロインと変わっていないのが透けて見える。
冒頭、酔った逞しい黒人男と同乗している車の中で、暴走しながらオナニーを始めて事故る、というバカとしかいいようのない場面は失笑できるが、あとは笑うのも面倒になる。
ラストでどんでん返しのつもりか、さらに強引に「犯人」を説明的にでっちあげるわけだが、勝手にしてくださいという感じ。
監督のマイケル・ケイトン・ジョーンズって人は「ジャッカルの日」の壮絶劣化リメーク「ジャッカル」をこしらえた人。
(☆☆★)