prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アメリカン・ジゴロ」

2011年08月11日 | 映画


脚本・監督のポール・シュレイダーは映画批評家時代に小津・ブレッソン・ドライヤーを「超越的transcendentalスタイル」という共通項で論じた「映画における超越的スタイル」(邦訳は「聖なる映画」 古本はAmazonで9800円もする)の著者だが、この映画のリチャード・ギアの部屋に小津みたいな壺が出てくる。ただし、小津好みの赤ではなく青だが。さらにラストシーンは明らかにブレッソンの「スリ」の引用。

ジゴロ、なんて風俗を扱った一種のキワモノかと思わせて、途中から殺人容疑をかけられて「罪」を問われるのが、厳格なカルヴァン派の家に育って18歳まで映画を見るのを許されなかったシュレイダーらしいといえばらしい。ただし、「コール・ミー」を鳴らして思い切りファッショナブルなライフスタイルを描く調子のいい冒頭からすると、途中からテンポが失速する感は否めない。

リチャード・ギアが若い若い。ただ、この人が野獣系のセクシー・スターとしてもてはやされた、というのはやはりピンとこない。
若いと目がちっちゃいのが目立って、可愛らしさが先に立ちます。

ファッション・インテリアがすごく凝っているのが見もの。(ベルトリッチ作品で美術を担当しているフェルディナンド・スカルフィオッティがコンサルタント)
(☆☆☆)

人気ブログランキングへ