ほとんど最初から最後まで視点が戦車の中から出ないという実験的な技法で作られているわけだが、ビデオで見ているとさすがにかったるい。
戦場あるいは戦争全体の像を見せるのはあらかじめ徹底して排除する方法論をとるのはいいとして、まったく動きはとれないし、画づらに変化はないしで、かといってフェイク・ドキュメンタリーというわけではないので軸になるものがなく狭い割に世界像としては印象が拡散していて、必ずしも戦車の中に「閉じ込められている」実感と結びついているとは思えない。
音響効果が思ったほど印象的ではないせいか。
辛うじて外を覗く映像が息抜きになるわけだが、物陰に隠れてあまりよく見えない分、かえって少し作った感じになる。
(☆☆☆)