オープニングから長いパンニングや移動と濁った色彩が印象的だが、撮影はフランス人のジャン・ボフティ。「冒険者たち」ほかロベール・アンリコ作品をよく担当していた人。「ギャンブラー」「イメージズ」のヴィルモス・ジグモンドとも似ていて、ニューシネマ以前のアメリカ映画のクリアなルックとははっきり違う。
原題が「Thieves Like Us」俺たちみたいな泥棒とあるように、描き方にヒロイックなところはまるでない。銀行強盗のシーンも手前に子供たちに飴か何かを配っているのばかり見せて、銀行から出てきて逃げるのをついでに写ったように描くといった調子。
ラジオがあるいはBGM、あるいは時代色やキャラクターの空虚感を出すツールとしてさまざまなニュアンスで使われているのが印象的。
ただ、つぼを外しっぱなしみたいな作りなので、たるいといえばたるい。
(☆☆☆)