ケネディが政権についてからアイゼンハワーの戦略にひっぱられるところに始まり、数々の判断ミスを犯し、キューバ危機で本当に世界が破滅するぎりぎりのところをフルシチョフとともに辛うじて乗り越えるあたり、いかにもドラマ的なうねりを持った構成。
ここで「悪い父親たち」にひっぱられたのを振り切ったことが後に憎まれて暗殺に至ったというまとめ方をしていて、初めから敵対していたというより途中から離反した分激しく憎まれたともいえる。そしてその「悪い父親たち」がケネディ以降の大統領の座に着き続けたとも。
東京大空襲をはじめ日本中を爆撃したカーティス・ルメイがソ連に向かって、「あのクマ公の脚を折ってやる。それからタマをつぶしてやる」と言い放ったというエピソードが紹介され改めて猛烈に腹が立った。今更ながらなんという下劣低劣な人間か。本当に世界が滅ぼされかねないところだ。
世界が滅びてもかなわない、ソ連に一人残り、アメリカに二人残れば勝ちだと本当に考えていたらしい。「博士の異常な愛情」の抜粋が再び使われていて、あの映画でシェルターで核戦争を生き残ったあとは男一人に女大勢のハーレム状態の方が人口を回復するのに貢献できるというセリフがあったが、アメリカで生き残る二人は男と女一組であるべきだろうなどという宣伝映画らしき映像の抜粋が見られる。アダムとイブ気取りだ。当然キリスト教原理主義ともつながってくるのだろう。
ソ連の原子力潜水艦がアメリカの駆逐艦の機雷攻撃を受けて核魚雷発射の一歩手前にまで来て副艦長の制止によってなんとか回避できたというあたり、「クリムゾン・タイド」のデンゼル・ワシントンそのまんまで、映画の方がそういう秘話をネタにしたのかとも思わせる。
フルシチョフが初め険悪だったケネディとともに辛うじて危機を回避してから勇者気取りの連中が学ばなかった何事かを学び政策に反映させるようになってから弱腰扱いされ無くなった後もまともな墓も作られなかったという。
何物も学ばない愚か者だけが勇ましいことを言っていられるのだろう。それがどうかすると「強く」見えてしまうアイロニー。
チャンネル [BS1]
2013年5月8日(水) 午前0:00~午前0:50(50分)
ジャンル ドキュメンタリー/教養>ドキュメンタリー全般
ニュース/報道>特集・ドキュメント
ニュース/報道>海外・国際
番組内容
映画監督オリバー・ストーンが歴史学者とともに独自の視点でアメリカ史を描き直す全10回の意欲作。第6回はケネディの登場と突然の死が歴史の分岐点の1つだったと説く。
詳細
映画監督オリバー・ストーンと歴史学者のピーター・カズニックが脚本を手がけ、アメリカ史を新たな視点で描くドキュメンタリーシリーズの2週目。
第6回はケネディの時代。冷戦と反共主義で弱体化した民主党のホープだったケネディは、キューバ危機で全面核戦争を回避。核軍縮と米ソの平和的共存を訴えた。しかしソ連に対して弱腰だと軍部や保守派の怒りを買い、その死後、後継者たちは再び核の大量保有に進んでいく。
出演者ほか
【語り】鈴木省吾