一方で悪党同士の会話シーンのヴィヴィッドだが明らかに狙って平板にしてあるダイアローグと、スタイル化された犯罪描写がかわるがわる現れる、アートとアクションの間を行き来するような作りで、ふつうの犯罪映画を想像するとかなり違っていて、監督のアンドリュー・ドミニクは前にやはりブラッド・ピットと組んだ「ジェシー・ジェームズの暗殺」で四時間版のバージョンを作ってしまって公開が遅れて結局三時間版が公開されたように、アーティスト志向が強いと思しい。
間抜けで格好悪くて喜劇的な悪党揃いの中でプラピだけやたらと格好いいのがまた違う意味で喜劇的。
随所にはさまれる現代アメリカの荒涼とした風景が、大統領たちのまるで説得力のない希望に満ちた演説と対位法になっていて、「アメリカは国じゃない。ビジネスだ」というピットの決めセリフがなんとも皮肉に利いている。
原題はKILLING THEM SOFTLY。ジャッキー・「クーガン」だとチャップリンの「キッド」の子役になる。
(☆☆☆★★)
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ジャッキー・コーガン@Movie Walker
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