第二次大戦前夜のフランスで、アラン・ドロンが自分とよく似た同じ名前の男が行く先々に立ち回っているらしい、という日本の「永遠の1/2」と似た話。ただしその男がユダヤ人というあたり、アイデンティティの危機は即生命の危機につながるわけだが、どちらかというとスリルやサスペンスより時代色の方が印象に残る。
ドロンが住むアパルトマンの内装をはじめとする美術の素晴らしさに目を見張る。担当は大ベテランのアレクサンドル・トローネル。
監督のジョセフ・ロージーが「失われた時を求めて」の映画化を計画していたことを思い出させるほど。
タイトルでアールデコ調の字体を使っていたり、時代的にも「暗殺の森」と近いところがある。