ツェペシュは姓ではなくルーマニア語で「串刺しにする者」という意味で串刺し公ヴラドということになる。実際、何千ものオスマン・トルコの兵士を串刺しにして野に並べてトルコ軍を威嚇したと伝えられ、もちろん映画では二度もその場面を見せる。
その割に血生臭さは薄い。
ヴラド三世の父二世は神聖ローマ帝国より竜騎士団の騎士に任じられためドラクル(Dracul=竜公、または悪魔公)と呼ばれ、その息子(-a)ということでDraculaになったという。これも映画は取り入れてヴラドが「悪魔の息子」ドラキュラになるのがクライマックスになる。
ただし、父親の存在はカットされてもっぱら妻子と祖国を守ろうとする男として描かれる。新解釈というには平凡で、人の血を飲むことで吸血鬼として完成するという段取りはとうぜん予想はつく。部下たちが主君が悪魔に魂を売ったと火炙りにしかける場面もあるが、これまたあっさりみんな吸血鬼にされて手打ちになる。
良くも悪くもひねっていそうでひねっていない。
コウモリに変身するのに一羽ではなく群れになり、あるいは群れを呼び寄せて集団になって人間の大群にぶつかって粉砕する、といった具合にCGを活用してパワーアップした表現になっているのは今風。
ドラキュラは銀に弱いという設定になっているが、そうなったのは覚えている限り「ドラキュリア」(2000)以来で、あそこではなぜ銀が苦手かという理由づけが斬新で納得させられるものだったのだが、ここでは理由づけなしで無数の銀貨の上で戦うというスペクタクル優先の趣向に持っていっている。
(☆☆☆★)
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