ロリータことドロレス・ ヘイズ役のスー・リオンは出演当時15歳なのだが、十分発育している感じで一般的に思うロリータというほどではない。というより、この物語自体、いわゆるロリコン的なニュアンスというものをまるで持っておらず、映画はもちろん、原作もその手の描写を期待すると見事にスカされる。
あまり関係ないが、「チャタレイ夫人の恋人」が上流階級の女性が下層階級の無教養で野卑で性的に強い男に溺れる話かと思って実際に読んでみると、森番のメラーズは公教育こそ受けていないが非常な読書家で教養人なのにあれっと思うようなもの。イメージというのは常に陳腐な方向に、劣情に増幅されて伝播するらしい。
ウラジーミル・ナボコフはチェスの名手でもあり、特に問題を作るのが得意だったというが、原作は猛烈に複雑に組み立てられた言葉の大伽藍であることを新訳の訳者である若島正のロリータ、ロリータ、ロリータ
キューブリックとするとピーター・セラーズの怪演と出会って「博士の異常な愛情」につながる意味が大きかったと思う。
ロリータ〈1962年〉@ぴあ映画生活
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原作 ウラジーミル・ナボコフ監督 スタンリー・キューブリック主演 ジェームズ・メースン ピーター・セラーズ | |
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