監督のエリック・ポッペがもともと報道カメラマンで、ムービーカメラマンを経て監督になったという経歴の人なので、ある程度は自身の体験も入っているという。
ジュリエット・ビノシュのクロース・アップでさりげなく焦点深度を浅くしてボケ味を生かすなど、撮り方が非常にデリケート。
セリフなしで意外性を盛り込みつつショッキングな結びにまで持っていくオープニングがまず見ごたえあり。
闇の中を光のビームがさしているところから始まるのだが、見終えてからだとその光が難民や自爆テロの加害者・被害者など悲惨な状況を世界に伝えるカメラマン、ジャーナリストの象徴であることがわかってくる。
ドラマの収め方がきれいすぎる感じがしていたら、ラストカットでなんともいえないニュアンスを出す。紛争地帯の人々に何ができるかという問いかけに加えて、それが平和な国の人間の精神にまでどんな影響を与えるかを、
娘役のローリン・キャニーとアドリアーナ・クレア・カーティスが子供の反抗期と可愛い盛りと両方見せる。
ノルウェーとスウェーデンに加えてアイルランドが合作に加わっていて、ヒロインの家のロケはアイルランド。昔はアイルランドも爆弾テロが頻発していて、しかし今はそれを克服しているのを考えると、一方で絶望ばかりしなくてもいい気持ちにもなる。
エンド・タイトルにcoffee professorという職能が出てきたが、何でしょう。コーヒーを淹れる名人なのだろうか。
(☆☆☆★★)
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おやすみなさいを言いたくて@ぴあ映画生活
映画『おやすみなさいを言いたくて』 - シネマトゥデイ