どのキャラクターも発想や喋り方がビートたけしの分身みたいで、本質的に違う人間同士の人間関係というものがないのだね。
初めの方で藤竜也がオレオレ詐欺にひっかかりかけるところで、元ヤクザともあろうものがバカではないかと思ってしまった。第一冒頭で息子との仲が悪いのを振っているのだから、仲が悪そうでそこはやはり親子といったメリハリがないと不自然です。
基本的に不謹慎ギャグが主なのだけれど、言ってはいけないことを言う緊張感といったものがないので笑いも緩む。死体ギャグなど緩い分かえって生理的に不快になっている。
「ブリット」のポスターが貼られているところがあるが、エンドタイトルに肖像権はChadwick McQueenが持っている云々といった表示が出る。一時期役者をやっていたけれど素行が悪いのと父親のスティーブみたいな魅力がないので消えていった息子ですね。マックイーンの生前肖像権を争う裁判で来日したことがあったはずだが、今になって生きているのかなと思う。
作中でマックイーンを名乗るキャラクターもまるでそれらしくない。
若い者と年寄りがまともに暴力沙汰で戦ったら相手にならないわけで、ではどうやってその不利をはね返すのかといった知恵や工夫がなく、なんとなく年寄りが暴れると勝手に若いヤクザたちがびびってしまう。先がないやけっぱちの迫力があるわけでもないし、昔取った杵柄とか味方になってくれる人間関係があるわけでもない。バスの暴走もアクションシーンとしてはいかにも中途半端。エンタテインメント風なパッケージだけれど、エンタテインメントになっていない。
映画の内容とは関係ないが、場内の年齢層がはなはだ高いのは当然として、近くに言っては悪いが口の臭い爺さまに座られたのには参った。すごい匂いで気が散ることおびただしかった。
(☆☆★★★)
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龍三と七人の子分たち@ぴあ映画生活
映画『龍三と七人の子分たち』 - シネマトゥデイ