もう吉村昭の「羆嵐」とか「シャトゥーン ヒグマの森」あたりも映像化できるな、と思わせる。(もっとも何より先端技術と表現意欲とが合致して"初めて"ああいうかつてない表現ができたわけで、これからなぞっても仕方ない感はある)
全体にディカプリオの主人公の主観に密着していて映像の体感性が凄いのだけれど、接近したサイズの短焦点レンズの映像が2時間半続くとちょっとしんどい。たまに大ロングの画がはさまるとほっとする。
ディカプリオは体を張った大熱演(といっても川を流されるシーンなどは合成だろうと余計なことを考えてしまう)で、結果としていいタイミングでオスカー受賞になったと思う。
もろタルコフスキー、といったカットが結構目立つ。オープニングの親子が眠っているのを俯瞰移動で捉えたカット(「ストーカー」)、水に浸った森(「僕の村は戦場だった」ほか)、服の下から鳥が飛び立つ(「ノスタルジア」)、廃墟と化した教会に立つ黒焦げの木(「アンドレイ・ルブリョフ」)、などなど。
先住民も白人も同じように野蛮で残忍、というのは説得力がある。最近読んだ「捜索者: 西部劇の金字塔とアメリカ神話の創生」でも先住民(といっても言葉も習慣もばらばらでひとくくりにはできない)の野蛮さ残忍さについて詳述されていて、定型化したポリティカル・コレクトネスをくぐり抜けた地点に来ているなと思わせる。
(☆☆☆★★★)
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