作中のセリフで克服とかしていません、とわざわざ言っているくらいなのだから。
まず冒頭でバイトではあっても働いている(誰とも会話しなくていい職種ではあるが)というところで、働いているのだからいわゆるひきこもりとは違うのではないかと思わせる。
父親(マキタスポーツ)と直接話し合わず隣の部屋でLINEのやりとりしているのが可笑しいと共に、コミュニケーションをとっていないのではなく認識の回路がズレているのがわかってきて、ズレているのを認めていくことで折り合いをつけていくドラマなのがわかってくる。
門脇麦がいつも目が泳いでいたり、左右にぶれながらどたどた歩く姿が可笑しくも可愛い。ぼそぼそしたあまりセリフらしいセリフしかないのにヒロインがどんな人間でどんなことを考え感じているのか、山場での母親(YOUがかつて「誰も知らない」で演じたようなまるで悪気のない毒親ぶりを見せる)とのやりとりなど言っていることと感じていることがまったく相反しているのかが手にとるようにわかる。
ゲーム業界という知っているつもりで実は知っていない世界を舞台にしてかなりコミカルな誇張を混ぜているのが見せる工夫で、ゲーム=オタクという図式で描いているのかと思うと巧みに外している。
(☆☆☆★★)
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