刑事ものというよりおまわりさんの映画。
原作のジョセフ・ウォンボーが現役の警官の時に書いた小説が原作とあって細部のリアリティが濃密。
かといって丸っきり辛気臭いリアリズム一辺倒かというとそうでもなくて、役者の芝居のメリハリとかきびきびした場面運びなど一種の映画くささがしっかり出ていて安心して見ていられる。
70年代からアメリカにはメキシコ系違法就労者がずいぶんいて、その足元を見て高い家賃をふっかけているあこぎな家主もいたのがわかる。
ジョージ・C・スコットのベテラン警官が引退して年金生活に入ったが(25年の勤務で年金をもらえるのだから、ずいぶん早い)、平安な生活に慣れることができないのかどうか、思わぬ行動に出るのを心理主義的な描写を完全に削ぎ落としているのが強い印象を残す。
主役はステイシー・キーチの若い警官の方なのだが、その妻ジェーン・アレクサンダーの心情の変化が唐突な感じのは似た狙いなのかどうか。
暴力描写が突発的で不意をつくのがそれほど血が出るわけでもないのにショッキング。
70年代の犯罪ものというとスコット・ウィルソンやエド・ローターが出ているという印象。