主演のゼイン・アル・ラフィーア少年(役名も同じゼイン)の演技というか存在そのものが圧巻。世話をすることになる一歳の赤ちゃんとの共演ぶりも驚異という他ない。
子供、それも男の子が幼児を世話をする図がすでに意表を突き、女性監督の目が光るところでもあるだろう。
たかが身分証がないくらいで、と日本にいると思ってしまうが、考えてみると日本にも戸籍を持たずそれで多大な社会的不利益を蒙っている人はいくらもいるのを思い出した。
本質が存在に先行するなんて言葉があるが、本質とも言えないレッテルが中身より先行するというのはいかにも今の世界を典型的に表す。
子供、それも男の子が幼児を世話をする図がすでに意表を突き、女性監督の目が光るところでもあるだろう。
たかが身分証がないくらいで、と日本にいると思ってしまうが、考えてみると日本にも戸籍を持たずそれで多大な社会的不利益を蒙っている人はいくらもいるのを思い出した。
本質が存在に先行するなんて言葉があるが、本質とも言えないレッテルが中身より先行するというのはいかにも今の世界を典型的に表す。
なんとレッテル「だけ」で物事を、人間を判断していることか。
監督のナディーン・ラバキーは女優でもあって、弁護士役で出演もしているが、少年があなたたち(いい身分の人間)には僕のことはわからないと作中の裁判で言われるのは実際に言われたことでもあるだろうし、この映画を作るにあたっての自戒でもあるだろう。
監督のナディーン・ラバキーは女優でもあって、弁護士役で出演もしているが、少年があなたたち(いい身分の人間)には僕のことはわからないと作中の裁判で言われるのは実際に言われたことでもあるだろうし、この映画を作るにあたっての自戒でもあるだろう。
その自戒は同時に観客には跳ね返ってくるものでもあるだろう。