天下の美女である京マチ子をメイクで醜女に仕立てるという思い切った企画で、ヒロインが一種異様にすら感じられるくらい純真無垢なところがほとんど「エレファント・マン」をすら思わせる。
単純に純真というのではなく、一種の防御反応のようにも見えてしまう。
出っ歯にして目を腫れぼったくして眉をばかに太く書いて、とそれほど極端にいじらず京マチ子の面影が残っているメイクなのだが、それではっきり醜女になっているのだから、美醜というのはちょっとしたところで決まってしまうものみたい。
ドイツ産のアグファカラーの色彩がまことにこってりして衣装・装置の力感とともに大映の技術陣の力量を知らせる。