是枝裕和監督作というと、ドキュメンタリー出身ということや素人や経験の浅い出演者を上手に使うということでリアリズム寄りの人のように(少なくとも自分は)思いがちだったが、ここでは完全に虚実皮膜のあわいを揺れる作りにしている。というか、ドキュメンタリー自体「真実」そのものでは決してないのだが。
まずカトリーヌ・ドヌーヴという現実の大女優とファビエンヌという役がもろに重なるようにしてあること、撮影現場がまたここに後で合成しますよと言わんばかりにグリーンバックが張られていること、劇中劇に現実が反映する、あるいはその逆になる、ドヌーブには実際に早く(25歳で!)交通事故で亡くなった姉のフランソワーズ・ドルレアックがいて、それがファビエンヌの自伝「真実」で出てこない叔母にひっかけているだろうこと、などなど。
ヒッチコックと組む予定があったという小ネタなど、実際に「みじかい夜」というドヌーブ主演の企画があったことにひっかけているわけで、ブロンド好きのヒッチコックらしいなどと連想を誘う。
母親と娘の対立を描くドラマとしては、「秋のソナタ」や「エミリーの未来」などの先行作品の、娘が母親をとことん非難し存在そのものを否定するかのような苛烈な葛藤にはずいぶんと及ばず、良くも悪くも穏やかな地点に着地する。
母娘の親子あるいは女同士の対立の間には男はおよそ入る余地がないというのがこれまではある程度定番だったが、今回は一見だらしがないような娘婿のイーサン・ホークが子供の面倒をみたり、アルコール依存症っぽくて酒飲んだらえらいことになりそうなのがフランスの環境だと楽しんで飲めるので連続飲酒にならないとか、周囲の男たちが割とリラックスしてつかず離れずで関わっている距離感がいい感じ。
まずカトリーヌ・ドヌーヴという現実の大女優とファビエンヌという役がもろに重なるようにしてあること、撮影現場がまたここに後で合成しますよと言わんばかりにグリーンバックが張られていること、劇中劇に現実が反映する、あるいはその逆になる、ドヌーブには実際に早く(25歳で!)交通事故で亡くなった姉のフランソワーズ・ドルレアックがいて、それがファビエンヌの自伝「真実」で出てこない叔母にひっかけているだろうこと、などなど。
ヒッチコックと組む予定があったという小ネタなど、実際に「みじかい夜」というドヌーブ主演の企画があったことにひっかけているわけで、ブロンド好きのヒッチコックらしいなどと連想を誘う。
母親と娘の対立を描くドラマとしては、「秋のソナタ」や「エミリーの未来」などの先行作品の、娘が母親をとことん非難し存在そのものを否定するかのような苛烈な葛藤にはずいぶんと及ばず、良くも悪くも穏やかな地点に着地する。
母娘の親子あるいは女同士の対立の間には男はおよそ入る余地がないというのがこれまではある程度定番だったが、今回は一見だらしがないような娘婿のイーサン・ホークが子供の面倒をみたり、アルコール依存症っぽくて酒飲んだらえらいことになりそうなのがフランスの環境だと楽しんで飲めるので連続飲酒にならないとか、周囲の男たちが割とリラックスしてつかず離れずで関わっている距離感がいい感じ。
アレクセイ・アイギの音楽がちょっとジョルジュ・ドルリューみたい。つまり70年代くらいのフランス映画の感じ。