公開当時にデヴィッド・リーン監督が来日インタビューで語っていたフロイト的演出に絡めてメモ風に。
ロレンスがマッチの火を指でもみ消す、マゾ的体質の提示→マッチの火を吹き消すカットにアラビアの砂漠に太陽が昇ってくるカットがつながる。アラビアの砂漠と太陽が自分に与えられた艱難辛苦を楽しむ体質につながる。
無謀ともいえる英雄的行動でアラブ人ガシムを救出し、真っ白なアラビア風衣装(花嫁衣裳なのだとか)をプレゼントされ、短剣を抜いて自分の姿を映して見る。短剣を掲げるポーズは、ナルシシズムと勃起のメタファー(通訳をつとめた矢島翠=のち加藤周一夫人は英国紳士然としたリーンがファリック・シンボル Phallic symbol =男根の象徴なんて言葉を平気で使うのに驚いたという)
後年トルコ軍の将校に捕まって鞭打たれて解放される(レイプされたのであろうのをボカした表現)あと、急激にエキセントリックになって攻撃しなくてもいいトルコ軍を襲って全滅させる。その後、同じ短剣は血まみれになってだらりと下がっている。短剣に移っていた自分の姿は汚れたものになり、勃っていたポテンツも抜けてしまうということだろう。