モチーフからすると「楢山節考」のような棄老の話なのだが、冒頭から「ぬいよい。おばばよい 」といった姑と嫁との方言でのかけあいが人間の口から出るセリフではなく、ナレーションのように画面外から聞こえてくるのがずうっと続くのが民話かおとぎ話のような調子(主演が市原悦子ですからね)で、死の場面でも露骨に骸骨を出してくるような描写ではなく、雪景色の中で半ば子供に戻ったような老人たちが雪合戦をするといった柔らかいタッチなのが魅力。
姑と嫁がこれだけ仲よく描かれること自体、日本のドラマとしては異色なくらい。
村田喜代子の原作のコトバそのものに恩地日出夫監督のタッチが加わった成果と思える。
市原悦子のずいぶんきつい方言でも何を言っているのかはっきりわかるセリフ術はさすが。
「日本の元風景を映像を通じて考える会」(でしたっけ)という会の製作とあって、ロケ地山形の風景美とそれを捉えた上田正治の撮影が凄い。
「日本の元風景を映像を通じて考える会」(でしたっけ)という会の製作とあって、ロケ地山形の風景美とそれを捉えた上田正治の撮影が凄い。
人工光のない世界にふさわしく明るいところと暗いところのコントラストが強くて、しかもバランスが崩れていない。