prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「ギャング·オブ·アメリカ」

2022年02月09日 | 映画
原題はLansky。
「ゴッドファーザーPARTⅡ」のハイマン·ロス(リー·ストラスバーグ)のモデルになった実在のユダヤ系ギャング、マイヤー·ランスキーのこと。
演じるのは東欧系ユダヤ人のハーヴェイ·カイテル。若いときをジョン·マガロ(「アンブロークン」「キャロル」)。

ジャーナリスト(サム·ワーシントン)が老境のランスキー(カイテル)のもとを訪れ、本にすべく聞き出した半生が画面になっていくわけだが、何しろ違法行為だらけなので生きている間に公開したら命はないぞと脅され、しかも3億ドルに及ぶというランスキーの隠し財産を探すFBIが接触してきて、秘密を知るらしい仲間の居場所を調べろ、断ったらランスキーにチクるぞと脅迫してくる(ヒドい)。

このランスキーが昔、若いときにやったことと、今のジャーナリストの家族を含めた周辺に起きることが二元的に平行して描かれる構成は正直まとまりが良くない。

前述の「ゴッドファーザーPARTⅡ」にかぶるところが面白く、もともと隠し財産はキューバ革命以前のバティスタ政権下のハバナのカジノの儲けが原資で、イスラエルのゴルダ⋅メイヤ首相の代理に武器を買う費用の寄付を求められてユダヤ人同士のよしみで多額の寄付をする。
ところがメイヤ首相は米のニクソン大統領から戦闘機の供与を受ける代わりに組織犯罪のトップのランスキーを米に引き渡すべく、イスラエルへの帰化申請を却下し追放処分にする。このあたり、FBIもだが国のやることはギャングよりヒドい。

「ゴッドファーザー」ではなぜハイマン·ロスが終盤寄る辺なく世界各地を転々としていたのかよくわからなかったのが、ピースが嵌まった感じ(本物のランスキーは肺ガンのためマイアミで80歳で死去)。

カイテルは前に「バグジー」でバグジー⋅シーゲルの仲間のキレ気味のギャング、ミッキー⋅コーエンを演じていて、この時ランスキーをベン⋅キングスレーがやっていたのだが、今回のカイテル扮のランスキーも同様に数字と計算に強く、やたら凄むのではなく素人に貸しを作って巻き込んでいくタイプのギャングとして演っている。
だから、ギャング映画らしいドンパチ場面はほとんどない。
このあたりの全然違うキャラクターをカイテルが演じ分けているのを比較して見ることもお楽しみ。

賭場で勝ちおおせることはできない、たまに勝ち続けることはあるが、最終的に勝つのは胴元だ、といったセリフは色々な関係に置き換えられるだろう。

ランスキーを扱ったテレビ映画にリチャード・ドレイファス主演の、ジョン・マクノートン監督の「ランスキー アメリカが最も恐れた男」というのもあるらしい。

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