前半、確かいまガラスに牛の首が写っていたよなとか、誰か偶々のように変な人影が写りこんだよな、といったビデオだったら巻き戻して確認するだろう、視界の隅にひっかかるようなJホラー的な演出はますます微妙精密になっている。
微妙過ぎて気づいてないものもあるのではないかと思うくらい。
ただ話の結構が見えてくる後半になると、最初の舞台になった廃ホテルと呪いの発生源の村とがヴィジュアル的にもお話的にもうまくつながってない。
「牛の首」という実態のない怪談は有名だが(小松左京に同じタイトルの短編あり)、具体が必要な映画では収まりが悪い。
そこで畜生腹が昔は嫌われたというモチーフとかなり強引に結びつけたわけだろう。ヘタするとコンプライアンス違反になるような話でもあるが。
ホテルそのものの荒廃ぶりと背景の緑の風景の取り合わせが秀逸、よくこんな場所あったものだ、とか、うっかり実際に入ると床が抜けたりすることもあるからロケハンには手がかかっただろうとか、ロケ隊どこに泊まったのだろうとか、結構見ていて余計なこと考えていた。
屋上から飛び降り自殺した人間が死んだことに気づかず同じ屋上に戻ってエンドレスで飛び降り続けるというモチーフは、高橋洋監督(この村シリーズの清水崇監督の映画美学校での先生=というとなんだが)の文章に出てくるが、水溜まりを利用してうまく処理した。
スマホのSIRI機能が勝手に働いて妙なことを自動音声で喋り出すのが上手い。
主演のKokiって、キムタクと工藤静香の娘だという。どちらかというと父親似だろうが、若い女性で歌舞伎顔となるとけっこう微妙な顔立ち。