なんだかベトナム戦争を見ているみたいだった。
川やジャングルの佇まいとか、そこにいきなり巨大な炎が噴き上がる感じとか。
渡辺謙が鎧みたいな衣裳をつけて現れてときどき日本語を話すのだが、この世界観では彼は東(といってもイデオロギーではなく西洋に対する東洋という意味)に属している。
エンドタイトルで英語の傍らにカタカナ表記がある(渡辺謙は漢字)ように東洋志向はかなり徹底している。
価値観や美意識でも西洋に対する東洋という位置づけのようで、人間型AIが東側に属していて、特に無力に見える子供型AIが手を合わせて拝むとすべての電力を奪ってしまうという設定は無力こそ力という東洋的な(というのか)哲学に思える。
そのあたり臭くなりそうなのを、SFという設定が救った。
「東は東、西は西、交わることなし」とはキップリングの言葉だが、交わらざるを得ない現状を現状そのままでなしに描けた。