この映画の日本公開時のポスター↑では、監督マーチン・スコルセーゼと表記されていた。それが「タクシードライバー」の時はマーティン・スコシージになり、今のスコセッシ表記に落ち着いた。
オープニングの人工的な大セットと赤い照明は「風と共に去りぬ」ばりで、スコセッシのシネフィルぶりを見せる。
歌手として売り込もうとするアリスがものすごくダサいグリーンのワンピースといういでたちなのがかなり可笑しい。
アリスがジャムがついたナイフを拭いた布でそのままテーブルを拭くのはずいぶんと無神経で、アメリカ人らしいというか。
だいぶ前にテレビで見たときはクリス・クリストファーソンとの関係がハッピーエンドに見えたけれど、今見るとちょっと引っかかる。またアリスの連れ子に手を上げるのではないかと思ってしまう。
ハーヴェイ・カイテルのウブな若者と暴力男との二重人格みたいなコワさ(今見るとこっちの方がスコセッシ節なのだが)が目に残っていたせいかもしれない。
小さなレストラン(というよりダイナー)の中の客とウェイトレスとの芝居の密度がすごく濃い。
アリスのウェイトレス仲間がおそろしく手際が悪くて三人の客の注文がどれがどれだかわからなくなって、客の方もまたかという悪慣れした対応している。
ジョディ・フォスター(若っ)が出てきた時は男の子みたいで、出番の最後ではロングスカートをはいているあたりの変化のつけ方が芸が細かい。