アレンらしくウェルズ=「市民ケーン」ベルイマン=「野いちご」「第七の封印」「仮面ペルソナ」 フェリーニ=「8 1/2」 ブニュエル=「ブルジョアジーの秘かな愉しみ」「皆殺しの天使」 ゴダール=「勝手にしやがれ」 トリュフォー=「突然炎のごとく」ともうオマージュというか引用だらけなのだが、意外(というか)なのはクロード・ルルーシュ=「男と女」が音楽つきで再現されたこと。芸術というかゲイジュツ志向ではないのが混じった。
「ペルソナ」のセリフはわざわざスウェーデン語にしているという凝りっぷり。
演出はシンプルで、さらさらとひっかからないように撮っている。
ヨーロッパのヌーヴェルヴァーグをはじめとする映画人はヒッチコックやハワード・ホークスなどハリウッドの監督でも自分のスタイルを持った人は称揚したのだけれど、アレンはあまりそういうことはしない。
音楽の趣味は懐古的だが。
自身のスキャンダルについては黙秘を貫いている。もともと否定しているのだし、ネタになるような性格のことではないが、その分以前と作風があまり変わらないでいる。
「女の平和」の男版はどうだという企画が映画人のパーティーでちらっと出てくる。何だそら(男が戦争ばかりするものだから女たちが夜の生活をボイコットする話)。