prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ゴジラ-1.0/C」(白黒版)

2024年01月18日 | 映画
カラーと白黒の両方の版があるのとしては比較的最近では「マッドマックス 怒りのデスロード」があるが、技術の進歩のせいか初めから白黒用の照明で作ったのかと思うくらい微妙な画調が出ている。

今では白黒映画は「せかいのおきく」「花腐し」などそんなに珍しくなく、フィルムだと最初から白黒用のを用意しないといけないわけだが、デジタルだともう少し手前が省けるのではないか。知らんけど。
フィルム時代の「マスターズ・オブ・ライト」のデジタル版みたいな本が出ないものか。

白黒だと第一作の、特に生中継しながらゴジラに襲われる場面のオマージュが生きる。焼け跡のセットの質感も白黒ならではの抽象化をいったんくぐり抜けたリアル感がある。

余談だが、1954年のファースト「ゴジラ」の三年前の1951年、日本映画初のカラー映画「カルメン故郷に帰る」では万一カラーで失敗したのに備えて白黒でバックアップをとっていたのだが、カラーを白黒でプリントしたというより、明らかにテイクが違う。

さらに余談を重ねると、「天国と地獄」みたいにパートカラーを採用した映画で白黒の調子が潰れることがよくあったけれど、今だともう少し上手くいくのではないかな。「笛吹川」みたいに白黒に部分着色したフィルムも、「白い恐怖」で一瞬のカラーのためにそのカットがまるまる潰れたままなのはもったいないと思ったもの。