prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「やさしい女」

2024年07月22日 | 映画
ドミニク・サンダはこの時十七歳のはずだが、頬の線など稚いところが大人びた感じ、特に目つきと同居している。

監督のロベール・ブレッソンはほとんど素人だけを起用してそれも一度きりで二度と使わないので有名だが、素人の素材の「自然さ」よりは明らかに型にはまった「不自然さ」に合わせている。能面芝居の中からこぼれる生々しさと言い直せるかもしれない

回想形式をとっていて投身自殺したサンダの遺体から生前の彼女にフラッシュバックで遡るのだが、これはドストエフスキーの原作の構成をほぼ踏襲したもの。
遺体がオブジェとしてごろっと転がされているあたりの即物感が、そのまま生前の姿にも通用する。