化け猫あんずちゃんが目の前に現れた時のかりんちゃんのリアクションを引いたサイズで描いているのが上手い。
昨今の墓が集合住宅みたいなコンパクトな味気ない体裁になったのを見せておいて、まだ小学生のかりんちゃんが亡くなった母親を文字通り地獄にまで追いかけていくのだが、その地獄のイメージが荒野にちょっと異国的な扉や塀を配するのと現代ののっぺりとした道具立ての混在というのが面白い。
考えてみると、今の一般的な地獄絵図というのは割と異国的ではないか。
地獄から死んだ母親を取り返しに行くという「オルフェ」みたいな話だが、借金づけになっている父親が半分地獄に沈められているというくだりが怖くて可笑しい。
あんずちゃんの声が森山未來というのは先日の「大いなる不在」のイメージとはずいぶんと異なるが、微妙に周囲に溶け込まない役柄という意味では適役。