藤達也の認知症演技がセリフの言い方は正常なのに内容はどこでどうショートしているのかわからない飛び方を見せる。その中で体裁を取り繕うのが習い性になっているのか、恩師を偲ぶ会(当人は物理学者らしい)らしき会合だとまったく破綻を見せないのがまた見ようによっては小憎らしい。
話している相手が誰なのかしばしばわからなくなって相手(主に森山未來)にしてみれば腹が立ってくるのと、もともと不仲なのが相乗効果を出したり逆に打消しあったりする。
このあたりに散乱ぶりは初めの方で明らかに人物を鏡に写して見せる画作りをしているのでそこで暗示していたのかもしれない。
時制が交錯する構成で(部屋の散らかり具合で時間経過を描き分けている)、前の方で言ったセリフの内容が後で出てくる実際の場面と微妙に食い違っていたりする。