prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

余り物

2004年09月10日 | Weblog
あまりに暑いので、花が枯れてしまうからと花屋が安くするから買ってくれと植木を持ってくる。
実際、天気予報では涼しくなる涼しくなると言って、ウソばっか。

「バレエ・カンパニー」

2004年09月10日 | 映画
舞台の上のバレエと、舞台裏の情景が交錯するのだが、どっちもさほど特殊な観察やひねりのある描写があるわけでなく、淡彩のスケッチにとどまっている。全盛期のアルトマンだったら、スケッチが紡ぎ合わされて巨大なタペストリーになっているところ。バレエそのものに見ごたえがあるからそれほど飽きないが、客席を入れ込んだりあっちこっちにカメラの視点を散らしたりしているので、あまり落ち着いて見られない。
(☆☆☆)

「リディック」

2004年09月09日 | 映画
ヴィジュアルや音楽は宣伝で引き合いに出されている「スター・ウォーズ」ではなく「砂の惑星」ばりの重厚さ。ただしグロテスク趣味を抜き、アクション・シーンを詰め込んで娯楽性を強くしてある。「ピッチブラック」からのスピンオフだというが、リディックのキャラクターが共通しているだけで、ストーリーはまったく別物。
原題にThe chronicles ofとつくように続編を前提して作られているので、中途半端なところで投げ出されたようなエピソードが多く、ちょっとすっきりしない。
「ピッチブラック」は「駅馬車」ばりの敵中突破ものだったが、リディックのキャラクターは西部劇でいうところのgood bad guyの後裔なのではないか。
(☆☆☆)



水上勉死去

2004年09月09日 | Weblog
日本の作家で、よく映画化されてしかも傑作が多いという点ではトップクラスだろう。ストーリーの骨格がはっきりしているからまとめやすい上、暗く重い雰囲気が日本映画の体質とよく合った。ビートたけしが「おまえ、水上勉の暗い世界を背中にしょってるな」なんて表現使ったくらいで。

「誰も知らない」

2004年09月08日 | 映画
全盛期の日本映画が最も得意としたビンボーリアリズムの復活の観。もっとも、昔のビンボーリアリズムは実はものすごい技術の豊かさの上に成り立っていたのだが、ここでは日本の一般の生活空間が一応豊かになった中で、それが荒廃していくという形で貧しさが描かれている。
バックに富がないと、貧乏も表現しにくいのか。
主役の子は見せる芝居ではなく見られることに徹している。

写真は上映中のシネリーブル池袋のすぐそばの閉店したイタリア料理店。
(☆☆☆★★)

打ち上げ

2004年09月08日 | Weblog
「あなたの隣の恐い話」六本木a lifeにて打ち上げ。場所がわからず交番で聞くと、今日何かあるのですかと言われる。
試写を兼ねていて私が脚本を書いた4本のうち3本を見るが、飲み食いしながらなので落ち着いて見られない。我ながら極端に台詞を少なくしてあるもので、ほとんど環境ビデオかと思うほど。ざわついているので音響効果は判断不能。評価は後日改めて。リリースは来年1月から。

二次会で、猿岩石の片われが引退してホストクラブを経営しているとかいう噂が出る。ホントかね。

「喜劇 ああ軍歌」

2004年09月06日 | 映画
戦時中、敵前逃亡と見なされて靖国神社に祀られない息子を持つ(「軍旗はためく下に」みたい)母親役が北林谷栄、前線に出るのがイヤで気違いのふりをして(「キャッチ22」みたい!)逃げ込んだ精神病院でその息子と一緒だった戦友二人が、フランキー堺と財津一郎、と役者が揃っていてさすがに笑わせる。
70年製作で万博のポスターが見える中、靖国神社の賽銭を終戦記念日のサイレンにまぎれて盗み出すクライマックスは、賽銭箱の中でフランキーが小便が漏れそうになるなど、笑わせる一方でスゴ味がある。
怒りと情けなさを笑いに紛らわせる戦中派映画。監督・前田陽一。
(☆☆☆★)

「喜劇・昨日の敵は今日も敵」

2004年09月06日 | 映画
精神病院から逃げて来た患者たちが憂国を訴えてホテルに立て籠り爆弾で客を脅すという、今では絶対メジャーでは作れないストーリー。71年製作。リーダーが平田昭彦。
女の子たちの空手をはじめとして、ドタバタの動きのヌルさはちょっと見ていられない。
いかりや長介が「いかや長介」名義で警官役で出演。
なべおさみは今の目で見ると華やかさが足りない。
堺正章や布施明がすごく若いが感じはそう変わっていないと思った。
(☆☆★★★)

企画・アイデア

2004年09月06日 | 企画・アイデア
一億玉砕
現代の東京の街を零戦の特攻隊が襲う短編
食人鬼
上田秋成の「雨月物語」のうち「青頭巾」の本格ホラー化。高僧が突然美少年に狂い溺愛するが、少年は病死してしまう。すると高僧は死骸を抱き締めて離さず、腐った肉汁をすすり、骨をかじり、食人鬼へとなっていく。
1+1=1
川を隔てて2軒のアパートが向き合っている。その片方の一室で殺人が起こったらしい。隣の部屋では音は筒抜けだが、姿は見えない。向かいのアパートからでは姿は見えるが、音は聞こえない。では、この両者を合わせれば、正しい犯行像が得られるはず、なのだが、いざやってみると次第にずれていく…。


上記の続きはこちらにどうぞ。

鯨と奪い合い

2004年09月06日 | Weblog
今年の秋刀魚はミンククジラが増えたもので漁獲高が減ったそう。
「ディープ・ブルー」ってイギリスのドキュメンタリーでぐわーっと何百という群れを一呑みだというところが見られるとか。そのくせ鯨は減っている(鯨による。ミンククジラを繁殖力が強くてすぐ増える)と字幕が出るとのこと。あくまで鯨を守りましょうって言い張りますね。

台風が近付いて気圧が下がると妙に眠くなる。

トンデモ

2004年09月05日 | Weblog
券もらったので、中野に癒しのコンサートっていうのに行ったら、石丸和夫というたま書房から本を出したりしているセンセイのトンデモ講演をその前に聞かされて往生する。何しろ超音波(!)が混ざったボーカルを聞くと免疫が高まって有毒物質を追い出して感染症にも聞くというのだから、たまらない。しかもそれをマジメに聞いている人が多いのだ。センセイに、あなた脳細胞が2万ばかり死にましたね、ミョウガを食べたからです(!)と言われて真面目に感心したりしている。
歌うのはミネハハというCMソングを3000曲以上歌っている(ソフランSだの石丸電気だの)人だけあって、とうぜん歌唱力はあるけれど、シューベルトの子守唄とか、アメージング・グレースといった普通の名曲を歌っていただいた方がありがたい。
他に誰の歌に超音波が混ざっているかというと、坂本九だという。亡くなってずいぶんになるが、こういうところで引き合いに出されるとは思わなかった。

写真は中野駅前のレッドペッパーの宣伝、なんだかyahooのモデム配りにとって代わったみたい。

秋刀魚の味

2004年09月04日 | Weblog
スーパーに行ったら、本当に刀のように銀色にピカピカ光っているサンマが並んで思わず手がのびる。大根をおろして(汁も捨てずに味噌汁に)醤油を垂らして、と。絵にかいたような日本の秋の旬の夕飯。ただし、余っているからとパンで食べてもみたが、やはり全然合わず。

「スパイダーマン2」

2004年09月04日 | 映画
金がかかったB級映画という言い方がぴったり。
核融合の扱いのいいかげんさといい、なんでスパイダーマンが力をなくしたり取り戻したりするのかよくわからなかったり、銀行の金庫室から金貨(!)がぞろぞろ出て来たり、コスチュームを洗濯すると色落ちしたりと妙に特に前半ビンボたらしかったり、リアリティより映画での約束ごとを優先させているよう。

技術的には金かけてすごいことばんばんやっているのだけれど、あまりマジメに見なくていい駄菓子風味。

ヒロインをきれいに撮れないのは、オタクの欠点。
逆光で黄葉を捕えたカットから「雨にぬれても」の原曲が流れるあたりは「明日に向って撃て!」、ラストで花嫁が逃げ出すのは「卒業」と、ちょっとづつアメリカン・ニューシネマが入っているのはどういうことでしょ。
(☆☆☆★)


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安っ

2004年09月04日 | Weblog
10年以上使っていたCDラジカセがいいかげんイカれてきたので、ビックカメラで新しく探して買ってくる。前のは量販店で5000円を割っていたのが、今度のは3980円(税込み・68%引き)。家電製品の値段ってどうなっているのか、よくわからない。
吉野屋で牛カレー丼を試してみる。うまくねえの。肉もどこにあるのかわからないくらいだし、ルーとご飯とのバランスも悪い。福神漬も用意されているのだが、なじみがない上、蓋つきの容器に入っているものだから食べ終えてから気付く。

写真は、日劇のロビーでスモークスクリーンに「アイ、ロボット」の抜粋を映写している様子。

「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」

2004年09月03日 | 映画
アラン・リックマン、ゲイリー・オールドマン、デビッド・シューリスといった演技巧者たちがキレのいい芝居を見せる。性格づけが一面的でなくいくつもの面を持っていて、しかもそれが変わる時ぱっと一転するように脚本が描けているから。

人狼についての講議や、ハーオーニーが同時に二つの授業に出ているあたりが後で効いてくる伏線の張り方、大詰めの時間を遡って描写を2度重ねるあたりの高度な技法(脚本「ファビュラス・ベーカー・ボーイズ」のスティーブ・クローブス)。両親の記憶を探る話には違いないのだが、フロイトまがいのタネ明かし趣味に走らないのもありがたい。

アトラクション風は後退して、人狼など怪奇映画のテイストが大幅に入っている。魂を吸われそうになるあたりの顔のかすみ方はフランシス・ベーコンの画のよう。アイリス・イン、アイリス・アウト風の画面のつなぎ方はサイレント映画風の古風な感覚。
(☆☆☆★★)


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