prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

2017年01月25日 | 映画
ドローンによる遠隔操作でテロを準備しているアジト(という言葉、あまり最近使わないな)にミサイルを撃ち込む際、すぐ近くに少女がパンを売っているので巻き添えを食わせたら人道的に問題がある、あるいは情報戦に不利になるというので手の届かないところでじりじりしながら責任の押し付け合い、生存率の計算、法律上の問題のクリアなど面倒な問題と対処しながら決断の時が迫ってくるサスペンスに、どちらが正しいと簡単に決められない問題を必ず決めなくてはいけない難しさが端的に出た。

カメラを通して見ている範囲でしか知らない、それでいて英米側が生殺与奪権を一方的に握っている非対称の戦争のすれ違いのもどかしさをありありと感じさせる。
この情報システムからは当然日本は排除されているのだろうな。

頑是ない少女が犠牲になるかどうかというサスペンスの枷も、ずうっと続いているとテロを許すとやはり同じような罪のない者の犠牲が出るであろうことが頭を掠めるわけで、見えている者と可能性としては存在していても見えない犠牲者との天秤にかける難しさ、というのも違う意味だが価値観としては違う軸のものを比べなくてはいけないまた別の非対称というモチーフが出てくる。

発射されたミサイルが飛んでいく映像がオミットされているのは、「殺す側」に立ってわくわくするような気分に誘導するのを避けようとしているように思う。

実際にミサイルのボタンを押さなくてはいけない兵士の様子を見ていると、実際に戦場に立たなくても、というか直接関わるわけでなく頭の中だけで処理しなくてはいけない分、かえっておかしくなりそうだと思った。実際、ストレスがひどくて手当をアップしているそうだし。
(☆☆☆★★)

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 公式ホームページ

映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』 - シネマトゥデイ

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1月24日(火)のつぶやき その2

2017年01月25日 | Weblog

1月24日(火)のつぶやき その1

2017年01月25日 | Weblog

「書くことの重さ 作家 佐藤泰志」

2017年01月24日 | 映画
このところ「そこのみにて光輝く」「海炭市叙景」「オーバー・フェンス」と映画化が続く20年前に41歳で自殺した作家・佐藤泰志を再現ドラマを交えて描くドキュメンタリー。
こういう貧乏な生活実感というのは20年前だと時代遅れに見えたのが一巡してまたリアリティを持つようになったということだろうか。
実際に通っていた職業訓練所のシーンなど「オーバー・フェンス」そのまんま。

芥川賞の選考会の再現シーンが、開高健や松本清張のそっくりさんなど出てきてなんだか可笑しい。どこまで記録に残っているのか知らないが、いかにも言いそうなことを言うのです。
文学というのものを信じて疑わないのは今見るとちょっと不思議にすら見える。

文学賞の対象にはなっても受賞にまでは至らないのがずいぶんもどかしい。今だったらネットを使って読者を開拓することもできたろうにと思わせる。
ナレーションが仲代達矢で、ずいぶん重厚感が出た。

書くことの重さ 作家 佐藤泰志 公式ホームページ

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映画『書くことの重さ 作家 佐藤泰志』 - シネマトゥデイ



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1月23日(月)のつぶやき

2017年01月24日 | Weblog

「MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間」

2017年01月23日 | 映画
うーん、マイルスが活動を停止していた空白の五年間を描くのはいいのだけれど、本当に空白なままで、イアン・マクレガー扮する記者が何を探り出したのか、何があったのかさっぱりわからない。

いくら上手に再現しても天才の演奏シーンは本当の再現にはなりようがないのだが、その再現自体をオミットして最後にちょっと出てくるくらいというなんだか不完全燃焼な作り方。

肝腎の音楽が生きるように仕組まれていないのが最大の不満。

MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間 公式ホームページ

映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』 - シネマトゥデイ

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1月22日(日)のつぶやき

2017年01月23日 | Weblog

「マッド・ボンバー」

2017年01月22日 | 映画
チャック・コナーズの爆弾魔とネヴィル・ブランドの強姦魔という顔合わせで、さらにヴィンセント・エドワーズの刑事も乱暴刑事というイカれた連中ばかり。
コナーズの身体のデカさと異様な面持ち、ブランドのすごいマスクだけでかなりイケる。

いかにも低予算のエクスプロテーション・ムービーだけれど、爆弾魔のコナーズがゴミをポイ捨てした通行人にえらい剣幕で詰め寄りゴミを拾い直させる冒頭から、至るところで妙に社会正義がかった言動を繰り返すのが、のちに「タクシー・ドライバー」あたりにもつながる過激でゆがんだ正義感が出ている。

目覚まし時計を使った時限爆弾があまりに古式ゆたかなので笑ってしまう。

72年の作品だけれど、薄いシャツの下に巨乳といったわかりやすいヌードがばんばん出てくる。今だとかえってこういうエロはあまり映画には出てこない。
ブランドが奥さんのヌード写真を壁に貼ったり8ミリフィルム!上映を見ていてオナニーしているうちに爆殺されるなど、相当に可笑しい。

爆発描写は血みどろでどぎついけれど、実際は体がもっと粉々になるんじゃないかなあ。



1月21日(土)のつぶやき

2017年01月22日 | Weblog

「天使にショパンの歌声を」

2017年01月21日 | 映画
女子修道院が時代の流れで存続の危機に立たされ、生徒たちのコーラスやピアノ演奏の腕を見せることで危機を乗り切る話、なのかと思ったら全然違ってました。

あまりストーリーを割るわけにもいかないが、初めのうちショパンをジャズ的に崩したりしていた反抗的な生徒がいったん型にはめられる教育を受け、これがクライマックスのピアノ演奏でまた本来の活力を発揮するのかと思うとそういうわけでもなくておとなしく弾くだけと、ドラマの基本的な構造がよくわからない。

音楽がいいからなんとなく感動的にはなっているし、演奏シーンはしっかり指が動いているので見応えはあるが、音楽そのものの映画的な生かし方は平凡。

フランス語だけれど、フランス映画ではなくてカナダのケベックが舞台で雪景色が印象的です。

天使にショパンの歌声を 公式ホームページ

映画『天使にショパンの歌声を』 - シネマトゥデイ

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1月20日(金)のつぶやき

2017年01月21日 | Weblog

「マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション」

2017年01月20日 | 映画
モノクロになって、赤っちゃけた大地の荒涼とした感じは薄れた代わり、メタリックな底光りがするようでSFテイストが強くなった。

異様なメイクのキャラクターたちが塗りたくった感じが薄れて、一種の抽象化が進みコミックのそれのようにすっきりし、夜の場面がカラーよりぴったりくるようにになった。

代わりに生理的な迫力や重量感は後退した印象。

ヒーローとしてのマックスを描くよりは、マックスがヒーローになる物語であることを確認する。

マッドマックス 怒りのデス・ロード 公式ホームページ

マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション|映画情報のぴあ映画生活

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 - シネマトゥデイ



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1月19日(木)のつぶやき

2017年01月20日 | Weblog

1月18日(水)のつぶやき

2017年01月19日 | Weblog

「ヴァージン・スーサイズ」

2017年01月18日 | 映画
ソフィア・コッポラの長編映画デビュー作で、五人姉妹がなぜか自殺するといういくらもスキャンダラスにもセンセーショナルにも描けるモチーフなのを、それらしい理由や動機を抜きに淡々と描いているのが眼目。

半ば周囲でうろうろしている男の子たちを通して描いているのだが、この場合は「男の目」というより単純でニュートラルな視点といっていいだろう。

金髪の女の子たちがたむろしている図は「ピクニック・AT・ハンギングロック」みたいでもあるけれど、あからさまな幻想感はない代わり、中身が枯れた木が切り倒されるシーンなどアメリカの中産階級らしい生活の裏に張り付いた一種の虚構性みたいなものが出ている。
こういう中産階級が今薄くなっているのだろうなとも思う。

この後「マリー・アントワネット」でも組むキリスティン・ダンストがさすがに目立つ。

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