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尖頭山の専用線(2)~希少な車両の数々

2006-12-26 | 鉄道[中華人民共和国]

  
 

(1)では尖頭山を走る専用線の概要や路線の様子などを取り上げましたが、こちらではこの専用線を走る旅客列車に関して取り上げたいと思います。

この専用線は運行区間が短いとはいえ、中国では一般的な客車列車を機関車が牽引するという運行形態をとっており、鉱外車駅・鉱内車駅共に機回し線が設けられ、一運行毎に機関車の付け替えを行っています。

使用される機関車は、MAKIKYUが乗車した際は凸型の電気機関車(EL)が用いられており、こちらでは他にも使用されている路線が幾つかある様ですが、旅客列車の牽引に使われる路線はかなり限られるかと思います。

かなり古い機関車であると推測され、コンプレッサーと警笛の音が凄まじい印象を受けましたが、日本であれば動態保存でイベント時に出て来る車両に匹敵すると思います。

ただ(1)で記した通り、電化路線にも関わらずディーゼル機関車(DL)牽引となる事もある様で、MAKIKYUはDLの姿を見ていませんが、これがどの様な車両なのかは分かりません。

また牽引される客車は6両編成で、こちらも中国では一般的なYZ22型などではなく、なかなかお目にかかれない凄まじい顔ぶれで、車端部のドア付近などがかなり特徴的ですが、車両の長さや形式などは編成で一致しておらず、見るからに雑多な編成であるのも特徴です。

客車の中にはYZ30型を名乗る車両もあり、これは以前中国鉄路乗車記(8676次)で取り上げた重慶の超短距離慢車(重慶~重慶南)と同じ形式になりますが、この形式は恐らく他形式からの通勤車両化改造車に付けられる形式と思われますので、重慶のYZ30型とは外観などは全く異なり、共通する特徴といえば木製のロングシート(日本の通勤電車で一般的なレール方向に設置された座席)位です。

この客車は台車も余り見かけない古めかしいモノを用いており、この専用線の旅客列車自体が走る骨董品といった感を強く受けますが、様々な意味で異色の路線ですので、中国のローカル路線や旧型車両が好きな方にとっては、たまらない路線かと思います。

ただ路線長が短く旅客列車に乗車しても直ぐに終点に着いてしまいますので、乗り応えという意味では少々物足りない感じもしますが、走行写真を撮影される方や中国の旧型車両に関して研究されている方をはじめ、旅客列車に乗車するだけでしたら瀋陽を起点に午後の半日でも訪問可能(その代わり夜は遅くなり、また冬場の撮影は厳しいかと思います)ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も瀋陽周辺へ行かれる機会があり、時間に余裕がある状況でしたら、一度足を運ばれると面白いかと思います。

写真は尖頭山の旅客列車(既出)と牽引するEL、旧型客車とその車内の様子です。


尖頭山の専用線(1)~瀋陽から日帰りでも行ける所ですが…

2006-12-26 | 鉄道[中華人民共和国]

  

「MAKIKYUのページ」では中国関連の話題を時折掲載しており、最近では遼寧省の省都・瀋陽市を走る公交汽車(路線バス)などを取り上げていますが、中国に関しては鉄道関連の記事を期待されている方も多いかと思います。

という事もあり、また以前遼寧省を中心に現地発の詳細な情報を提供していたサイトが諸事情により閉鎖されてしまった事もありますので、「MAKIKYUのページ」としても微力ながら、8月の旅行中にMAKIKYUが乗車し、8月11日のWeblog記事でも多少触れた尖頭山Waitoushanという所を走る専用線に関して取り上げたいと思います。

尖頭山は瀋陽市の南東に位置する本渓市に位置し、瀋陽から本渓を経て丹東まで伸びる国鉄瀋丹線の沿線にある小さな田舎町で、瀋陽と本渓の中間付近に位置しますが、幹線道路からは離れており、瀋陽からの長途汽車(都市間バス)などは存在しない様ですので、貸切車両などを用意しない限りアクセスは専ら瀋丹線の列車となります。(瀋陽から向かう場合のみは何とかなる様ですが、恐らく上級者向けです)

ただ瀋丹線の列車はそれなりに設定されているものの、快速などの上位種別に当たる列車は尖頭山站には停車せず、慢車と呼ばれるローカル列車(それも一部は通過します)しか停車しない小站ですので、入念な計画を立てれば瀋陽から日帰りでも行けるものの、訪問の際は注意が必要です。

この尖頭山の専用線は国鉄の尖頭山站から少々歩いた所(5分もあれば大丈夫です)にある鉱外車站と呼ばれる専用の停留所(?)から発車し、旅客列車は鉱外車站~鉱内車站の短い1站間を10分足らずで結びますが、運行距離が短い事もあり運賃は片道0.5元と格安で、站構内での乗車券販売はなく、列車発車後(場合によっては発車前)に服務員(私服のオバサンです)が車内で運賃を直接徴収しています。
(乗車券も頼めば発行して貰える様です)

列車の運行本数は1日6往復に限られますが、接続する国鉄の運行本数が少なく、また概ね国鉄の慢車時刻に合わせて設定されている事もあり、土地柄を考えると充分な本数と言えます。

起点(?)の鉱外車站はホーム1本と機回し線があるだけの質素な站で、ホームやその周辺では周囲の方々が集まって市場の様な状況になっていましたが、これに対して終着の鉱内車站は活用されていないとはいえそれなりの駅舎もあり、列車の乗客以外は駅前も人通りは少なく、時折車が通り過ぎていくだけという感じでした。

尖頭山の専用線は貨物輸送の方がメインで、旅客輸送は2の次と言った感じの鉄道ですが、その様な鉄道だけあって一区間の旅客列車が運行される路線以外にも貨物専用の線路が多数あるのも特徴ですが、、旅客列車の車中からでも鉱内車駅に近づく前に右側へ分岐する路線などが見られ、この鉄道がどの程度の規模を誇っているかは未知数です。

またこの路線は周囲を走る国鉄瀋丹線(尖頭山周辺は複線で、本渓方面へ向かうと単線になります)ですら非電化であるにも関わらず、単線ながら電化されているのも特徴で、辺鄙な田舎に架線柱や架線が見受けられるのは非常に違和感がありますが、MAKIKYUが乗車した際の旅客列車は凸型の電気機関車(EL)が牽引していたものの、電化路線にも関わらずディーゼル機関車(DL)が旅客列車を牽引する事もある様です。
(MAKIKYUはDLの姿を確認していませんが…一説によると時間帯によって変わる様です)

また鉱内車站で遠巻きに姿を見ただけですが、貨物列車の入替用などで蒸気機関車(SL)の姿も目撃しており、これは現在の中国では最も一般的なSY(上遊)型かと思われますが、この専用線は3種類の動力全てを用いているのも特徴的で、こういった鉄道は以外と少数派かもしれません。

この専用線で活躍する車両に関しては、(2)で取り上げます。

写真は鉱外車站・鉱内車站と、鉱内車站停車中の旅客列車内から見たワンシーン(SLが稼動している姿が確認できます)です。