雨、21度、98%
少し前のことです。セブンイレブンで売られている金の食パンが火付けとなって、高級食パンが日本では流行っているのだと知りました。食パンなんて、私が日本にいた頃はスーパーの安売りの目玉商品でした。しかも、3種類の食パンしか売らない食パン専門店も銀座にできたそうです。その店では、サンドイッチなどの軽い食事もでき、あらゆるメーカーのトースターが用意されていて、好きなトースターでパンを焼くことが出来ると書いてありました。写真には、確かにずらりと並んだトースターが写っています。
トースターといえば、さほど大きくもない家庭電化製品、一台の値段だってたかが知れています。小さい時から見慣れて来たトースターは、いつもひっそりとパンを焼いては棚に仕舞われていました。自己主張のない働き者でした。20年近くも前、何かのグラビアでサンビームのトースターを見たことがあります。どっしりと大きくてクロムの色が機械的、私が持っていたトースターのイメージを一遍で変えてしまいました。いつかは欲しいと思いますが巡り会わないままでした。そう結局、一度も実物を見たことがありません。
私といったら、食パンは生のまま食べるのが好きです。厚さだって、こだわりません。時に香ばしさが欲しい時に、トーストするぐらいでしょうか。一時期、オーブントースターで焼いたパンにバターをたっぷりと塗って食べるのに凝っていました。香港でも売られているトースターは、オランダのフィリップのものでもコンパクトなものばかり、ちっとも魅力を感じないままです。そんな頃知ったのが、Dualitのトースターです。サンビームのようにクロムのどっしりとしたその姿に頼もしさまで感じます。日本では、しゃれた台所用品を置いている店にどーんと飾られています。イギリスのものなのにいつまで経っても香港にはやってきません。しかも、お値段を見てビックリ、普通のトースターの何倍もします。
香港にDualitのトースタがはいって来たのは、カラーシリーズが出てからですから、まだ10年にもなっていません。高いものなのに入る先から売り切れです。いくらなんでも、トースターにこの値段と思う私はしばらく考え込みました。でも、憧れ続けたどっしりのトースターです。
我が家にやって来たのは、2枚焼きのクリーム色。2枚焼きが、普通だと思っていましたが、3枚4枚6枚焼きまであります。大家族向きです。実は、トースターを買って初めて使うまで、私はただの一度もトースターの機能に付いた考えたことがありませんでした。恥ずかしいことに、見かけだけで買ったトースターでした。昔のトースターだって、焼き上がれば、ポンッとパンが飛び出してきます。ところが、Dualitはカチッとスイッチが切れる音だけ。赤いランプが消えていれば焼き上がっています。パンの出し入れは、丸い取っ手のレバーを使います。
さて、肝心の焼き具合ですが、どんな厚さのパンを入れても外のパッリッと感と中のフンワリした具合が変わりません。しかも焼き上がりはすごく早い。ポンとポップアップしないので、置いたままでは焼き過ぎるかと心配でしたが、そんなこともなく保温されています。最近のは解凍機能も付いていますが、古い我が家のDualitも、カチカチのパンを入れても同じ焼き上がりです。使い始めて、やっと値段の差を納得しました。
ただ、バンズだけは専用のパンラックを使わないと暖めることが出来ません。オーブントースターを持たないので、バンズを暖めるために買ったのが、 こんなブレッドウォーマーです。ただのアルミの板ではありません。2重底になっていて、火に当たる部分は、プツップツと穴が開いています。2重構造で、火のあたりを柔らかくしています。たまに、食パンも焼きますが、トースターで焼くのとは香りが違います。側についていなくては、黒焦げになってしまいます。ガスの火を使うと、また違った味になるから不思議です。
パン1枚、美味しく食べるために色々工夫します。Dualit,トースターとしての機能にも満足しましたが、カウンターの上の姿には、いつも惚れ惚れしています。