台湾の菊
曇り、23度、85%
台北に行くと楽しみにしていることのひとつが、花市です。市内を走る高架道路の下に延々と先が見えないほど続く花市です。花だけではありません、お茶やお香、有機野菜の販売までしています。そのバランス感覚がなんとも台湾だなと思わせます。花も野菜も当然お茶も台湾で採れた物です。ところがあるとき、その花市がなくて、ただの高架下になっていました。台北の花市は暑い季節をのぞいた市で、通年の花市ではなかったのです。旅行先では主人と一緒に早朝散歩に出ます。地元の朝早くからやっている食べ物屋さん、散歩の途中に出会う犬たち、この花市もそうして見つけた産物です。
香港の花市、ハローウィンが終わると早速クリスマスに向けての品揃えになってきました。これからクリスマス、ニューイヤー、春節と花の入荷量も増え、値段も春節前が一番高くなります。世界中から集まってくる花たちです。昆明はもちろん、オランダ、日本のふたつからは高級な花が入ります。最近では南アフリカのバラが素敵な色です。マレーシア、ベトナム、意外なことに台湾からの花は最近入ってくるようになりました。空輸される花たち、思うほど重装備でなく、大まかに箱に入って送られて来ています。
そんな、荷物を下ろしている忙しい花市で、誰の気兼ねもなく花の束をのぞかせてもらいます。品のいい薄紫の菊。ネットが被っていますが、花弁が長い菊です。香港の菊の大半は、昆明からの輸入もの、念のためにおばさんに昆明から?と尋ねました。返事は無愛想に台湾とおっしゃいます。あー、確かに箱には台湾と書かれています。
家に帰り、ネットをとり壷にポンポン投げ入れました。ものの1時間もしないうちに、あれあれ、水を吸い上げて、菊が開いています。 直径が10センチもある大きな菊です。長い花弁は先の先まで水を吸って、ピンとしています。堅かった花の中央も時間とともに開き薄黄緑がのぞきます。
ポンポンと投げ入れた時は、寂しそうな花景色でしたが、開き切るとなんとゴージャスなことか。菊というと、なんだか仏様に捧げる花のイメージがありますが、最近の菊は色にしても、花姿にしても様々。
確か台北の花市でも、たくさんの種類の菊がありました。古来種の菊は、野菊に近いものだそうです。これほどまでに長い花弁持つ菊、何代もの改良の成果でしょう。小さな花が好きな私も、たまには大花の魅力に負けてしまいます。