晴、5度、52%
熟成させた「ブルーチーズ」の最後のひと欠けを食べていた時のことです。「ブルーチーズ」を未だ焼いたことがないと気づきました。朝焼いたバゲットがまだあります。薄い「ブルーチーズ」の欠片をバゲットにのせてオーブンに入れました。高温で焼け目をつけます。数分のうちにブルーチーズのあの匂いです。庫内をのぞいているとバゲットの脇に「ブルーチーズ」が流れ始めました。急いでオーバンから取り出します。
「ブルーチーズ」も溶けるんだ!お皿に乗せてパチリとしたら、急いで口に入れました。 上面はこげてパリパリ。パリパリの「ブルーチーズ」はいつもの食感とは違います。ブルーチーズ煎餅のようです。脇に流れたチーズをバゲットですくい糸を引く「ブルーチーズ」を口に入れます。トロトロの「ブルーチーズ」もまた初めての体験です。青カビの匂いはするもののフレッシュな時のピリッと舌を指す感覚はありません。お次に溶けた「ブルーチーズ」が染み込んでいるバゲットをガブリ。ふかふか生地のピザ?と思うようなじんわり感です。バゲットがチーズを吸ってもっちりしています。
一切れだけです。1分もかかりません。パリっ、トロトロ、もっちり。なんだこの美味しさ!もっと早く気づくべきでした。イギリス人の方に「ブルースティルトン」というイギリスのブルーチーズの真ん中をくり抜いてブランデーを注ぎ火をつけて焼くと美味しいと話を聞いたのはもう20年ほど前のことです。すっかりその話を忘れていました。そういえば「ブルースティルトン」は陶器の容器に入れて売られています。あの入れ物のままオーブンにれるのだと初めて合点しました。ベイクする「ブルースティルトン」の話はお招きした我が家の食卓でのことでした。私の拙い料理、何をお出ししたか記憶にないのですが、きっとチーズの塊がテーブルにのっていたのだと思います。
次回ブルーチーズを求めたら勇気を持って丸のままオーブンに入れるつもりです。焼く途中はあの匂いがしますが、口に入れると匂いもピリッと感もない別物になっています。数年前亡くなられたイギリス人の方が好きな食べ物のことを嬉しそうに話してくださったお顔がはっきりと蘇りました。