晴、1度、52%
インドの布、特にウッドブロックを使って一つ一つ染め上げられた布が好きです。ウッドブロック、つまり型染めです。40年近く集めた布は中には擦り切れてしまったものもあります。インドに行く度に大きなベットカバーなども買い求めました、日本でもテーブルクロスなどが売られています。人の手で型置きされますから、ズレや染料の飛びがあり素朴な風合いです。先日ウェッブでインドの布を扱うお店を発見、布のカタログを回していると目に停まった布がありました。
「ペズリー模様」の発祥はこのインドのウッドブロックプリントだそうです。型染めですが精密で多色使いで染め上げられたものは見事です。目に停まった布はそうした古典的な柄ではなく、大きな花が単色で染められています。まるで北欧の布のようなパターンです。送ってもらうことにしました。申し込むと、インドから直接送られて来ることがわかりました。
先月頼んでひと月半待ちました。現在の飛行機の状況を考えると待たされることは承知です。それに何と言ってもインドです。のんびりした国民性、以前インドから出した手紙が半年後に友人の手元に届いたこともありました。追跡で見ると、ガンジー空港で足止めされています。ちっとも動きません。小さな包みですから、忘れられているのかなと想像します。やっと昨日、私の手元に届きました。
封を切ると、薄手のコットンに明るく染められた布が出てきました。春から夏の軽いショールにするつもりです。インドには数回足を運んでいますが、ウッドブロックの布を作っているジャイプールの町はまだ行ったことがありません。いつか行きたい場所の一つです。インドに行くと様々な布を体に巻きつけるようにしている人たちを目にします。男性でもお年寄りでも、色も様々、模様も多様なのに不思議な一体感を感じます。手作業で作られる布なのに日本や欧米の機械生産の布の何分の一のお値段です。木綿の質の違いもありますが、心が痛みます。
この布を待つひと月の間、一つのことを想像していました。封を切った瞬間のことです。予想通りでした。ハサミで封を切ると布と一緒に封じ込められていた「インドの匂い」が出てきました。乾いた、埃っぽい匂いですが懐かしい「インドの匂い」です。今手元にある布はまだ少しこの「インドの匂い」が残っています。嬉しい小包でした。
真奈さんは鮮やかな色がお好みですね。