
雨、13度、60%
「ライフ・アフター・ライフ」、昨年から読み始めたので数ヶ月もかかりました。500ページほどですが時代が前後し、一人の女性が生まれては死にまた生まれるという現実離れした構想を読み取るのにも時間がかかりました。 この本はすでに和訳が出ています。イギリス人作家、ケイト・アトキンソンの作品です。イギリス人独特な英語表現は慣れるのに苦労します。同じ英語なのに私にはアメリカ英語の方がスムーズに入ってくると本を手にした時から及び腰でした。案の定、かなりの時間悪戦苦闘の毎日でした。
1910年から1945年の間の時代背景、アーシュラという名の女性が生き死にを繰り返しさまざまな人生を歩みます。「人生をなん度もやり直す、正しく生きられるようになるまで何度も繰り返す。素敵じゃない?」と最後に作者からの言葉があります。この一言が書きたかったのだと、入り組んだ話を振り返りました。
「輪廻転生」という仏教用語の英訳がいく箇所か出てきます。でも私が思うに「輪廻転生」には当てはまらない。「デジャヴ」という「実際には経験したことのないのに、過去に経験したように感じる。」この言葉も幾度も出てきますが、「デジャヴ」にも当てはまらない。アーシュラは過去の記憶を引きずってはいませんが、同じ母親同じ家庭に幾度も生まれます。ある人生ではフランスを旅し、ある人生ではナチ支配下のドイツでヒットラーの暗殺を考えたり。読みながらどこに話が向かうのか予測できません。結論のない話です。それなのにここまで話を膨らませるのは作者の技量の高さでしょう。
「正しく生きる」?という作者の言葉の意味が掴めない。エンディングのこの言葉に至っても望洋としたままです。人生何度でも生き直す、と考えるとそれだけでも大変そうです。いえ、この本を読み終えるのに私は大変な思いをしました。
イギリス人の英語表現苦手がまた一歩進みます。イギリス人は物事を論理的構築する人種なのかもしれません。よく最後まで読んだと、安堵しています。
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