
曇、8度、81%
奈良東大寺の行事「お水取り」の期間前後、奈良で売られる和菓子があります。「糊こぼし」と名のある「椿」を模したお菓子です。「良弁椿」という僧の名をとった「椿」です。
「お水取り」はニュースでしか見たことがありません。昼の茶宴、夜の松明を上げる僧たち、映像では流れませんが僧たちにとって大事な準備の一つが紙で作った「椿」を飾ることです。紅白の椿、由来は「良弁椿」です。
「糊こぼし」というお菓子があることを知ったのは8年前のこと、以来毎年このお菓子を頂戴します。遠方のお菓子でもネットで買うことができる時代ですが、季節を違わず手元に届けられる包みを開けるたび、感謝の気持ちが広がります。
姿可愛い「糊こぼし」 紅白の花弁の中、蕊は「黄身餡」です。甘さが抑えられた「糊こぼし」の蕊の部分を頬張るとほんのりと黄身の香りが広がります。
「椿」が好きです。庭の「椿」も少しづつ開いています。その椿を座敷の縁側で愛でながら「糊こぼし」をいただきました。
東大寺に飾られる紙で作った「椿」、この紙は、赤は「紅花」黄色は「ウコン」で染められているそうです.この紙を染めて東大寺に収めていたのは、染色家の吉岡幸雄さんでした。日本古来の染めを受け継いでこられた吉岡さんが急逝なさったのは数年前のことです。「糊こぼし」を見ると「日本の色」に想いを馳せます。家業を受け継がれたお嬢さんがおそらく今もこの「椿」の紙を染めていらっしゃるのではと想像します。
緩み始めた寒さの中、好きな椿を見、美味しいお菓子をいただき、日本の色の持つ奥深さをぼんやり思います。
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