2月中頃、”ラファエル前派”展をみて、そのあと3月2日に、三菱一号館で開催中のザ・ビューティフル展を観に行ったのだが、感想文が遅くなってしまった。理由はいろいろあるが、その理由のほとんどは遊びに忙しかったからだから、言い訳はしない(汗)。ロセッティらラファエロ前派が1860年代に入ると、”芸術のための芸術”を目指す唯美主義運動に接近し、ロセッティも油彩画へ復帰し、装飾性豊かな女性の胸像を描くようになった。今回の展覧会は、ロセッティを含む、この時代の英国の唯美主義者たちの絵画と家具工芸品など140点の展示である。そして、何よりもうれしいのが、同じビクトリア朝時代にコンドルの設計により建てられた三菱一号館で観られること。暖炉もある小部屋を同時代の作品、それも、ただただ美しい作品だけを眺めて廻るのだから、こんな楽しいことはない。絵の中の美女もいっぱいで、とても、幸福感に満ちた展覧会だった。
展示リストもメモも失くしてしまったので(汗)、ホームページの解説とちらしの写真を載せて、記録しておこうと思います。
新たな美の探究
1860年代に唯美主義の礎を築いたのは、ロセッティやホイッスラーなどの前衛芸術家ばかりではありません。レイトンやワッツをはじめとする正統派の画家たちもまた、同じく初期の唯美主義者として、必ずしも伝統的な主題にはとらわれずに、ひたすらフォルムと色彩の美を追求しました。かれらの描き出した特異な美人像は、その視点の新しさを体現しているといえるでしょう。
ジョージ・フレデリック・ワッツ《孔雀の羽を手にする習作》&ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《愛の杯》&フレデリック・レイトン《パヴォニア(孔雀)》
アルバート・ムーア (1841-1893) 黄色いマーガレット&花
美しい人々/唯美主義のパトロンたち
1877年、ニュー・ボンド・ストリートにオープンしたグローヴナー・ ギャラリーは、唯美主義の絵画を積極的に紹介しました。その社会 的・興業的な成功は、唯美主義者たちの勝利を広く印象づけること になります。上流階級のパトロンたちは、唯美主義の絵画を購入 するだけでなく、そうした芸術家たちの美的な生活様式をも、自身の 住まいや服装に採り入れました。唯美主義を擁護した英国社交界 の重要人物たちの姿は、数々の肖像画に描きとめられています。
フレデリック・レイトン 母と子(さくらんぼ)&ウイリアム・ブレーク・リッチモンド《ルーク・アイオニディーズ夫人》
アルバート・ムーア 《真夏》 1887年
結局、美女ばかり集めてしまいましたが、年末の”美女ベストテン”候補としては、西美でもよくみている、ロセッティ”愛の杯”とムーアの”真夏”を挙げておきましょうか(笑)。