最終盤迎えたドイツ総選挙
大連立継続が焦点に
【ベルリン=片岡正明】27日投票のドイツ連邦議会選挙は最終盤を迎え、キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)による現在の大連立を続けるかどうかが、焦点の一つとなっています。各党は20日までに選挙後の連立構想を明らかにしました。
CDU・CSUは大連立を解消し、保守の自由民主党(FDP)との連立が「好ましい」と表明。FDPはCDU・CSUとの連立以外にないと決めています。
これに対し、SPDは90年連合・緑の党を好ましい連立相手とする一方、現在の大連立継続もありうるとの立場です。
共通の基盤ない
左翼党は今回、他党と連立できる共通の基盤はないとしており、同党が強くなることこそ他の党を左翼党の政策の方向に向かわせることになると強調しています。
同国の選挙制度は「小選挙区比例代表併用制」で、ほぼ得票率に応じた議席が各党に配分されます。多党制のもとで1党が過半数議席を占めることはほ
とんどなく、連立が常態化しています。しかし大連立は、旧西ドイツ時代を含めて2度(1966~69年、2005~現在)だけです。
最多の法案可決
二大政党が与野党に別れていたときには、一方が通そうとする法律をもう片方が阻止。ところが大連立でこの“障害”が小さくなり、過去4年間で憲政史上最多ともいわれる490以上の政府提出法案が可決されました。
なかには、年金受給開始年齢の引き上げという、本来なら労組の影響でSPDが強く反対する法律もありました。大連立与党は「対テロ戦争」で必要と
の判断からアフガニスタンへの独部隊派遣継続でも一致しています。両党が違うのは原子力発電所の廃止政策への対応と全国一律最低賃金制度の確立についてぐ
らいです。
SPDのワイスキルヘン連邦議会議員(外交問題担当)は本紙に対し、「両党は歩み寄り、互いに対立するのではなく支えあった」と語り、両党の関係を高く評価します。
FDPは、CDU・CSUが市場経済や産業政策で妥協することが多いと指摘。左翼党は「SPDが社会民主主義を捨てて、新自由主義的な考えになった」と批判しています。
ドイツ連邦議会の選挙制度 基本定数598人。比例代表と小選挙区を組み合わせた制度で、有権者は各政党と小選挙区候補者に投票し
ます。まず299の小選挙区で当選者を決定。比例代表での得票率に応じて各政党の議席配分数を決めます。各政党の議席配分数から小選挙区での当選者数を引
いて残った人数分を各党の比例名簿上位から割り当てます。議席配分数を上回った場合は、超過議席として扱われます。比例代表の得票率が5%未満か、小選挙
区の当選者が3人未満だった政党は、比例代表での議席配分を受けられません。
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