東北地裁で全国初の性犯罪を審理する裁判員裁判が始まった。
昨日、テレビを見ていたら、5人が男性で女性が一人だけ、
という裁判員の構成に「えっ」とおどろいた。
性犯罪を裁くのに、男性が多いというのには違和感がある。
というより、わたし自身は、被害者保護の立場から、
「性犯罪審理に裁判員裁判はなじまない」と思っている。
と思っていたら、今日の毎日新聞に「性犯罪審理 男女「5対1」波紋の記事。
今日の新聞各紙の、青森で行われた裁判員裁判の記事を読んで、
性犯罪事件は、裁判員裁判からはすずべきだという思いを強くした。
余談だけど、前に高村薫さんが中日新聞に、裁判員を取り入れるなら、
税金の使い道を正す住民訴訟から、と書いていたけど、まったく同感。
昨日の、市民感覚からかけ離れた不条理な裏金事件の判決を見ると、余計そう思う。
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以下は、青森地裁の裁判員裁判の審理の様子です。
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昨日、テレビを見ていたら、5人が男性で女性が一人だけ、
という裁判員の構成に「えっ」とおどろいた。
性犯罪を裁くのに、男性が多いというのには違和感がある。
というより、わたし自身は、被害者保護の立場から、
「性犯罪審理に裁判員裁判はなじまない」と思っている。
と思っていたら、今日の毎日新聞に「性犯罪審理 男女「5対1」波紋の記事。
裁判員裁判:性犯罪審理 男女「5対1」波紋 毎日新聞 2009年9月3日 全国で初めて性犯罪を審理する青森地裁の裁判員裁判は、6人の裁判員の構成比が男性5人、女性1人となった。選任手続きに出席した裁判員候補者34人から抽選した結果だが、女性被害者が圧倒的多数の性犯罪事件で、男女比が偏ったことは、さまざまな議論を呼んでいる。 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「性犯罪は性差で受け止め方が違う。被害者、被告とも、どこまで理解してもらえるか不安だろう。性犯罪は裁判員裁判の対象から外すか、被害者の意向を聞く選択制にすべきだ」と話した。 1例目の東京地裁(殺人)の裁判員は女性5人、男性1人(審理途中で体調を崩した女性裁判員が男性の補充裁判員と交代)。さいたま地裁(殺人未遂)は6人全員が男性。いずれも男女比が偏っており、3例目の今回でも同様のケースが起きれば、判決に影響するのではないかという懸念が出ていた。 だが、一橋大法科大学院の村岡啓一教授(刑事法)は「裁判に市民の常識を反映させる意味では、男女比にこだわるべきではない」と指摘。「東京とさいたまで、男女比が偏ったからといって、(判断に)アンバランスが生じているとは考えられない」と述べた。また、アジア女性資料センターの本山央子事務局長は「女性だから性犯罪被害者の気持ちが分かるわけではなく、個人の理解力の問題。男女比を指摘する前に、性犯罪事件の被害者に対する偏見をただすことが大切」と訴えた。【山本佳孝、喜浦遊】 毎日新聞 2009年9月3日 ------------------------------------------------------------------------ 裁判員裁判:性犯罪で初 「デリケートな事件」 不安訴える声も/青森 毎日新聞 2009年9月2日 ◇選任手続きに34人参加 性犯罪事件で全国初となる青森地裁の裁判員裁判。1日の裁判員選任手続きでは、6人の裁判員と3人の補充裁判員が選ばれた。呼び出し状が地裁から届き、選任手続きに足を運んだ人たちは「人の人生を左右する判断はできない」と不安を漏らし、「人生の経験」と期待し、「控訴されれば裁判員の判断は意味がなくなる」と制度を疑問視する声を漏らし、市民参加の裁判制度を前にしてさまざまな意見や思いを交錯させていた。初公判は2日午前10時からある。【山本佳孝】 呼び出し状を受け取ったうちの34人の候補者が午後0時半ごろ、ネクタイにワイシャツの正装や、ジーパンなどラフな格好などをして次々と姿を見せた。地裁前には大勢の報道陣が集まり、避けるようにして足早に建物に入る人もいた。 選任手続きは午後1時半に始まり、見込み通り午後4時ごろに終了した。 十和田市の損保代理店部長、松田満さん(53)は選任手続きに入る前、「性犯罪事件はデリケートだ。普通に被害者女性の顔を見ることができるだろうか」と不安な心境を話していた。松田さんは結局、裁判員を選ぶ抽選で漏れ、「無差別に選んでいるから仕方ない」と話した。 野辺地町の無職の女性(69)は選任手続き前、「あまりよく分からずに来てしまった。すごく不安」とし、「理由もなく欠席すると過料もあり、負担になるから」と地裁に来たわけを話した。女性はまた、「人の人生を左右する判断ができるだろうか」と曇った表情で話していた。 一方、八戸市尻内町の会社員、田名部渉さん(23)は上司と相談して「裁判員休暇」をもらったといい、手続き前に地裁前で「ここまで来たらやってみたい」と積極的だった。 田名部さんは結局、裁判員に選ばれず、「滞在時間が長くて疲れた」と話したが、「今、選ばれなければ何年後か分からない」と残念そうだった。裁判員制度については「自分たちで決めても控訴されれば判断が変えられる可能性がある。正直、どこまで意味があるのかと思う」と疑問も呈した。 また、辞退を要求して認められたという津軽地域のサービス業の男性(48)は「会社が忙しかった」と話していた。 ◇「人権侵害の制度」 市民団体、廃止訴え--地裁前 青森地裁前ではこの日、弁護士や市民団体の関係者ら約10人が、「人権を侵害する制度だ」などとして裁判員制度の廃止を訴えた。 メンバーは8月に東京地裁であった全国初の裁判員裁判などでも反対の声を上げており、この日も署名を募ったりビラをまくなどし、マイクで「多くが反対している制度をなぜ続けるのか。人権やプライバシーが侵害される」と訴えた。 東京都江東区から来た金沢良昌さん(62)は「性犯罪を裁く際に被害者の個人情報が市民にさらされる恐れがある。被害者も裁判員裁判を望んでいないのではないか」と話していた。 2日午前11時には青森市柳川1の市民ホールで、市民団体「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」が制度に反対する勉強会を開く。講師は東京弁護士会所属の高山俊吉弁護士。無料。【鈴木久美】 ============== ◆候補者の話◆ ・田名部渉さん(23) 八戸市の会社員 (待ち時間は)自由で、お茶を飲んだりたばこを吸いに行く人もいた。裁判所から特急券代が出ないので交通費はマイナスになる ・男性(48) 津軽地域の会社員 「仕事が忙しく人繰りがつかない」と言ったら辞退が認められた。選任手続きに来るのがおっくうだった。若い人が少ない印象だった ・松田満さん(53) 十和田市の自営業 負担だったのは時間と距離。移動時間がもったいない。裁判員選任の日と公判の日を分けたのはいいと思う。待っているときに居眠りしている人もいた ・男性(50) 三沢市の会社員 私はあまり物事を深く考える人じゃないので、選任手続きで漏れてほっとしている。私より賢そうな人がいっぱいいた 毎日新聞 2009年9月2日 |
今日の新聞各紙の、青森で行われた裁判員裁判の記事を読んで、
性犯罪事件は、裁判員裁判からはすずべきだという思いを強くした。
余談だけど、前に高村薫さんが中日新聞に、裁判員を取り入れるなら、
税金の使い道を正す住民訴訟から、と書いていたけど、まったく同感。
昨日の、市民感覚からかけ離れた不条理な裏金事件の判決を見ると、余計そう思う。
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以下は、青森地裁の裁判員裁判の審理の様子です。
再現詳細、嫌悪感も 裁判員、性犯罪初の審理 「被害者の名前を絶対に口にしないように」。小川賢司裁判長が冒頭、被告にくぎを刺した。全国で初めて性犯罪が審理対象となり、青森地裁で2日始まった裁判員裁判。公判初日から、地裁や検察側は随所で被害者の女性のプライバシーに配慮を見せた。一方で、検察側は強盗強姦(ごうかん)罪を立証する以上、詳しい状況も法廷で明らかにせざるを得ない。一般市民から選ばれた裁判員は露骨な表現に面食らい、嫌悪感を示す場面も見られた。 小川裁判長が被告に注意を促したのは開廷直後。「被害者の名前はAさん、Bさんと呼ぶ」とも告げ、プライバシー保護を理由に挙げた。性犯罪を審理する公判で地裁や検察、弁護側が被害者情報を秘匿するのは一般的だが、被告が漏らしてしまうケースもあり、積極的に意識付けを図ったとみられる。 検察側も被害者保護に腐心した。個人情報を伏せるだけでなく、証拠調べで被害者に関する内容を朗読する際も「プライバシー保護のため(傍聴席から見える大型の)モニターの映像を消してください」と何度も地裁職員に要請するなどした。 被害者の自宅周辺の地図が一時的に映し出されるトラブルもあったが、法廷では最大限の被害者保護が徹底された。 ただ、裁判員らの前に置かれたモニターはついたまま。検察側は事件発生時の細かい状況を読み上げて立証に力を込める。裁判員はモニターで性犯罪の再現写真を見せられ、被害者の体験を詳細に聞かされた。 裁判員の男性の一人は検察側の立証中、額に浮かんだ汗を手でぬぐい、落ち着かない様子。別の男性裁判員も鼻の下を手で覆い、つらそうな表情を見せた。 「ただただ早く終わってほしかった」という被害者の調書が朗読されると、裁判員の女性は検察官を見て何度もうなずいた。 「当初は窃盗目的で被害者方に侵入した」と主張している被告に、女性は「なぜ被害者が帰宅した時に逃げなかったのか」と質問。「逃げていたら、こんな悲惨な事件にならずに終わったと思う」とも述べた。 ◎手錠・腰縄姿見えず 地裁先行2例より配慮進む 青森地裁で2日始まった全国3件目、東北で初の裁判員裁判では「有罪判決確定までは無罪と推定する」「裁判所は白紙の状態で公判に臨む」という刑事裁判の原則を徹底するため、先行2件の裁判より一歩進んだ配慮が見られた。 報道機関による裁判官3人の法廷内撮影後、3人は退廷。刑務官に付き添われ、手錠・腰縄姿の被告が入廷すると、裁判長が別室から内線電話で書記官に手錠や腰縄を外してもらうよう指示した。解錠された被告は弁護人の隣の席で、裁判官と裁判員の入廷を待った。 東京地裁で8月にあった全国初の裁判員裁判では、裁判員と陪席裁判官は被告の入廷前に別室で待機したが、裁判長は初めから施錠された被告の姿を見ており、一部の弁護士が「中途半端な方法だ」と指摘していた。 今回、入廷する被告の手錠は紺色の布で覆われ、腰縄はスーツの上着で隠れていた。いずれも傍聴人には見えず、地裁の配慮がうかがえた。 ◎「被害者情報流出なお懸念」「保護の概念とは対立する」/傍聴した専門家ら指摘 全国で初めて性犯罪事件が審理された2日の青森地裁の裁判員裁判。傍聴した中京大法科大学院の柳本祐加子准教授(ジェンダー法)は「被害者のプライバシーを守る努力は感じた」と地裁の公判運営に一定の評価を与える一方、「性犯罪を対象事件から外すべきだという思いは変わらない」との考えを示した。 柳本准教授は理由として「法廷で事件を詳しく述べることで、傍聴人が被害情報をインターネットなどに掲載することも懸念される」ことなどを挙げた。 裁判員6人が男性5人、女性1人の構成になったことにも触れ、「あらゆる市民の視点を入れることが必要で、裁判員の性別のバランスも考えるべきだ」と強調。裁判員選任手続きに疑問を投げ掛けた。 刑事弁護に詳しい猪原健弁護士(青森県弁護士会)も傍聴。「裁判員が審理するためには、リアルな情報が必要。ただ、被害者が見ていたらとても耐えられない情報で、被害者保護の概念とは対立する」と指摘した。 河北新報 2009年09月03日木曜日 |
裁判員裁判:5裁判員が被告に質問 青森地裁 毎日新聞 2009年9月2日 全国で初めて性犯罪事件を審理する裁判員裁判の公判が2日、青森地裁(小川賢司裁判長)で始まった。被害者のプライバシー保護が注目されたが、検察側は名前を「A」「B」と表現し、年齢を伏せて起訴状を朗読。また、男性5人、女性1人の裁判員のうち、5人が被告の心境や証言内容を質問した。補充裁判員は男性1人、女性2人。3日は被害者が別室からモニターを通して意見陳述し、論告求刑と最終弁論を行って結審する。4日午後に判決を言い渡す。 審理対象は住所不定、無職、田嶋靖広被告(22)。09年にアパートで女性に性的暴行を加え現金約5万円を奪うなどした2件の強盗強姦(ごうかん)罪を含む四つの事件で起訴されている。 検察側の起訴状朗読にあたり、小川裁判長は「被害者保護のためAさん、Bさんとして住所と年齢は読みません」と田嶋被告に説明。起訴内容を「間違いありません」と認めた田嶋被告は、小川裁判長に「法廷では被告も(被害者の)名前を口にすることは絶対にしないでください」と注意され、うなずいた。 被告人質問では、女性裁判員が、不在時に部屋に侵入した06年の強盗強姦事件に触れ、「Aさんが帰って来た時になぜ逃げなかったのか」と聞いた。田嶋被告が「足がすくんで動けなかった」と答えると、「窓から逃げていれば(被害者は)凄惨(せいさん)な事件に遭わなかったんじゃないか……」とつぶやいた。 また、傍聴席から見て右端の男性裁判員は「最初は人と接触することを避けていたが、Bさんの事件では人がいると分かっていて家に入った。心境の変化は」と質問。「葛藤(かっとう)があったけど(借金の)支払いをしなければならず、悪い方向に決断した」という答えに、「支払いを優先したということですね」と念を押した。【鈴木一也、坂本太郎、銭場裕司】 ◇検察側、事件の内容を詳細に説明 公判で検察側は、被害者のプライバシーに配慮して名前や年齢を伏せたが、事件状況については被告や被害者の供述調書を読み上げるなど詳細な説明をした。被告の悪質さを示すには一定の説明は避けられないが、裁判員制度の「口頭主義」と、被害者保護のバランスの難しさが浮かんだ。 従来の裁判は書面審理が中心。事件によっては、裁判官は膨大な書面を読む必要があったが、法廷の場では供述調書の内容などは要旨だけが読み上げられるケースが多かった。しかし、裁判員裁判では、一般市民が書面を読み込む負担の軽減と審理期間の短縮を図るため、「法廷で見て聞いて分かる立証」を原則としている。 検察側は証拠説明で再現写真などを示す際には、傍聴席から見える大型ディスプレーの電源を切断。被告の供述調書の読み上げでは一部を省略し「調書の写しをご覧ください」と説明したが、性的暴行の内容については詳述した。 傍聴した中京大法科大学院の柳本祐加子准教授(ジェンダー法)は「供述調書をそこまで読み上げる必要があるのか」と疑問を投げかけた。ネット上に流出する可能性も指摘し「警察に届け出ない人がますます増えるのでは」と懸念した。 青森地検の吉松悟検事正は「被害者には、やむを得ないことだと納得してもらっている」と説明。ある刑事裁判官は「検事から『犯人を重く処罰するために必要です』と言われれば被害者は嫌と言えない。『こんなに詳細に語られるとは思わなかった』と感じた可能性はある。ただ、証人尋問で本人の口から語らせるよりは良かったかもしれない」と話した。【喜浦遊、鈴木久美】 毎日新聞 2009年9月2日 22時31分 |
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